日本語組版とつきあう その37
見出しの構成
見出しはいくつかの要素で構成されている。ここではJIS X 4051で用いている名称を使うことにする。図1にJIS X 4051の見出しの構成を示した図を掲げておく。なお、“副題”は、“サブタイトル”とよばれることが多い。
図1
見出しは内容を区分けする
書籍の見出しは、書籍の内容を区分けし、その内容を端的に示すことである。内容区分は、1段階の場合もあれば、5段階や6段階に及ぶ場合もある。一般に、内容区分の段階を多くすると理解が困難になる場合もあり、3段階くらいが望ましいといわれている。
5段階や6段階にもなる見出しは、その構成が複雑になり、本を読んでいて、どの段階の区分なのか、どの内容のくくりに含まれているのかをすぐに理解できなく、見直しをしないといけないこともあるからである。ただ、本の内容によっては、どうしても多段階にしないといけない場合もでてくる。
見出しのレベルを分かりやすく
見出しは、内容を示すとともに、この区分したレベルを読者に直感的に理解できるようにする必要がある。3段階の見出しは、一般に大きな内容区分のものから大見出し、中見出し、小見出しとよばれているが、一見して、この区別を理解できなければならない。
そこで、改丁・改ページの利用、見出しのフォント・文字サイズ、行取り、字下げなどによりアクセントをつけていく。見出しを区分したレベルが多段階の場合は、中扉(半扉)を利用する、あるいは小見出しで同行見出し(本文の行頭に掲げる見出し)を利用するなどの方法で、レベルを示す工夫も必要になる。
見出しのラベル名・番号の利用
見出しを区分したレベルが3段階くらいでも、本を読んでいて、見出しの文字サイズや行取りなどで差をつけていても、そのレベルがどこかなと混乱する例もある。ましてや見出しの段階が多い場合、その差のつけ方もむつかしく、読者が混乱する場合もでてくる。
そこで、ラベル名と番号で見出しのレベルの差を示すとよい。なお、ラベル名や番号とは、図1に示したように見出しの冒頭につく、レベルや順序を示す文字や数字等のことである。
ラベル名・番号のつけ方の慣習
見出しのラベル名や番号には、きちんと決まったルールではないが、これまでの本づくりの経験のなかから、おおよその慣習がある。これは読者も、そのように理解するものなので、この慣習からはずれない方が望ましい、といえよう。
ラベル名と番号をつける場合、ラベル名と番号の両方をつける方法と、上位の見出しだけはレベル名と番号を併用するが、下位の見出しは番号だけとする方法、すべての(または上位の)見出しに番号だけをつける方法がある。しかし、多段階の場合は、少なくとも上位の見出しは、レベル名と番号を併用した方が読者に理解しやすいだろう。
ラベル名のつけ方
ラベル名をつける場合、一般には、3段階の見出しであれば、“章・節・項”の順となる。小見出しのラベル名の“項”はつけずに番号だけでもよい。十分に読者に理解できる。さらに上位のものは、“部・編”などが利用できる。
番号のつけ方
ラベル名をつけないで、番号だけで示す方法もある。この場合、番号には、ローマ字や数字が利用される。このローマ字や番号には、おおよその序列があるので、それを考慮する必要がある。
横組を例にとると、もっとも上位の番号は、ローマ字の大文字、次がアラビア数字、ローマ字の小文字といった序列になり、さらに下位ではパーレンでくくったアラビア数字やローマ字の小文字、丸付きのアラビア数字といった序列になろう。
縦組でいえば、漢数字の方がアラビア数字よりは上位になると考えられる。さらに上位にはローマ数字(時計数字)の大文字が利用される。
理工学書などでは、数字を並べてつけていく方式も使われる。ポイントシステムとよばれている。
ラベル名にくらべ、番号だけの場合、ポイントシステムを除いて、読者にとって序列の理解は、いくらか劣る。そこで、番号だけの見出しやラベル名も番号もつけない見出しの場合、読者にレベルの区別がすぐ理解できるように配置方法で、はっきりとした差をつける必要がでてくる。