2014年の印刷産業事業所数は2万5843、前年比4.4%減となりました。印刷産業の事業所が存在しない県は一つもないことからも、印刷産業の裾野の広さがわかるのではないでしょうか。(数字で読み解く印刷産業2016その2)
印刷産業の事業所の8割が印刷業
3月11日公表の「平成26年工業統計調査」産業編によれば、印刷産業の全事業所数は2万5843事業所で2年連続の減少となりました。印刷産業の事業所の8割が印刷業で、次いで製本業、印刷物加工業、その次が製版業となっています。
製版業に次いで印刷関連サービス業の減少幅が大きいのはどうしてだろうと思うかもしれません。印刷関連サービス業というと、商品企画や販売促進、イベント企画、デザイン、マーケティング、入力代行、発送などの印刷付帯サービスを思い浮かべるかもしれません。あるいは、顧客データ管理やデータベース構築支援、データプリントサービス、インターネット関連業務なども想定されるかもしれません。しかし、工業統計は製造業に関する統計なので、ここで言う「印刷関連サービス業」は校正刷り、刷版研磨、印刷物結束などの非常に限られた範囲の専業者を指しているものです。
0.2%の大企業が約20%の出荷額を産出
従業者規模別に見ると、300人未満の中小企業が99.8%を占め、19人以下の小規模企業者が87.6%と中小零細企業が圧倒的に多いことがわかります。一方、300人以上の事業所数は0.2%ですが、出荷額では19.6%を占めているのです。
人口当たり事業所数は東京、大阪、福井、京都、岐阜、長野の順
印刷産業の事業所数を都道府県別に見ると、東京都が5536事業所(全国の21.4%)と最も多く、次いで大阪府2945事業所(同11.4%)、埼玉県1676事業所(同6.5%)、愛知県1574事業所(同6.1%)と、都市圏が上位を占めています。増加率では、3.7%増の秋田、増減なしの山梨の2県を除く45都道府県で減少しました。
次に人口に対する事業所数で見ると、東京、大阪に次いで、人口79万人の福井が事業所数258で3位となり、以下京都、岐阜、長野と続いています。福井県は眼鏡枠の産地として有名で、一番多い事業所は眼鏡枠ですが、次いで印刷物の事業所が多いのです。地図を見ても印刷産業の事業所が存在しない県は一つもなく、印刷産業の裾野の広さがわかります。
(JAGAT CS部 吉村マチ子)