年度があらたまり、今年も多くの新入社員が新しい門出を迎え、社会人としての一歩を踏み出した。
昨年度は新卒採用のスケジュールが大幅に変更になり、企業と学生双方に混乱をきたした面もあったが、内定率は、2月1日時点で昨年同日より1.7ポイント上昇し、88.2%となっている。(「大学等の卒業予定者の就職内定率状況調査」厚生労働省・文部科学省)。採用活動そのものは、前年並みに積極的に行われたようだ。
公益財団法人「日本生産性本部」が毎年発表する新入社員のタイプによると、今年度の新人は「ドローン型」だという。強い風(就職活動日程や経済状況などのめまぐるしい変化)にあおられつつも、なんとか自律飛行を保ち、目標地点に着地(希望の内定を確保)できた。さらなる技術革新(スキルアップ)によって、様々な場面での貢献が期待できる。内外ともに社会の転換期にあるため、世界を広く俯瞰できるようになってほしいという期待感も背負う。
厳しい条件を通り抜けて、新しいスタートを切った新入社員たちだが、これからが正念場だ。
流動する社会のなかで、風を見定め、自らが責任をもって舵を切っていかなければばらない。
印刷業界も加速するメディア環境の変化の中で、新しい役割と存在価値を模索している。
将来を支える人材育成の要めとして、新入社員ひとりひとりが1日も早く即戦力として、自立できるようになることが会社の強みと成長にもつながるだろう。
新入社員が身に着けなければならない知識やルールは膨大だが、早期のうちに教育機会を与え、基礎力を養成することが、主体的に行動できる人材になるためのステップには欠かせない。
また知識習得だけでなく、OJT教育や研修を通して組織のルールやマナー、人とのかかわり方などを学び、働く目的やその会社で果たすべき役割を意識づけしていくことは、新入社員の定着にもつながる。
JAGAT新入社員研修
JAGATでは、毎年4月に一連の新入社員研修を開催し、印刷会社や印刷関連企業のための新人教育を行っている。今年も4/4から東京・大阪で新人研修がスタートし、のべ300人近い参加が予定されている。
また印刷営業職を対象に、20年以上の実績をもつ「印刷営業20日間集中ゼミ」が5/9からスタートする。
今年度は環境の変化などに即して従来の内容をさらに集約化し、実践力強化のために営業実務や実習/演習の時間を増やした。知識習得だけでなく、考える力、コミュニケーション力などを含め、総合的な営業力の基礎を育む。印刷営業職を目指す新入社員、後継者の早期育成や他業種からの中途入社社員の即戦力プログラムとして、ぜひ役立てていただきたい。
4/6開催の「仕事と人間関係が上手くいくコミュニケーション講座」の猪俣恭子講師((株)storyI代表)は、これから仕事をはじめる新入社員に向けて、「どうしてこの仕事を選んだのか。仕事を通して、どのように役に立ちたいと思っているのか。そもそもなぜ働くのか」という問いかけを、とことん探し続けてほしいと投げかけている。
社会人として大きな一歩をスタートさせた新印刷人たちの取り組みを応援していきたい。