句読点と括弧類の字幅

掲載日:2016年9月5日

日本語組版とつきあう その60

小林 敏(こばやし とし)

漢字と仮名の字幅

活字組版で使用する漢字や仮名は、正方形の台(ボディ)をもっている。コンピュータ組版では、このボディは必要としないが、仮想の枠(文字の外枠)をもっている。この文字の外枠について行送り方向(行を配列する方向)のサイズが文字サイズとなる(図1参照)。

日本語組版に使用する漢字や仮名は、一般に正方形の文字の外枠を持っている。この文字の外枠よりやや小さくした字面を、文字の外枠のほぼ天地左右中央に配置している。したがって、漢字や仮名の字幅は全角となる。
ここでいう字幅は、字詰め方向(文字を配列する方向)の文字の外枠の大きさのことである。したがって、横組における字幅は文字の幅となるが、縦組の字幅は文字の高さとなる(図1参照)。

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(図1)

句読点と括弧類の活字組版での字幅

それでは、コンピュータ組版では、句読点と括弧類の字幅は、どうなっているのだろうか。これらを印刷した状態でみると、通常の場合、句読点と括弧類の占めるサイズは全角である。しかし、例外的に全角より詰められている場合がある。
活字組版でも、句読点と括弧類の占めるサイズは全角である場合だけでなく、全角より詰められている場合がある。そこで、活字組版では、句読点と括弧類のボディとして、つまり字幅としては全角のものと半角のものが準備されていた。

句読点と括弧類の字幅の考え方

コンピュータ組版では、字間を処理する場合、プラスのスペースを挿入するのが一般的であるが、マイナスのスペースを考えることができる。実際にマイナスのスペースを用意していた処理系もあった。今日でもマイナスの字間処理は可能である。

そこで、コンピュータ組版では、句読点と括弧類の字幅を全角とし、必要なら句読点の後ろや括弧類の前または後ろにマイナスのスペースを挿入し、詰める処理を行ってもよいし、逆に句読点と括弧類の字幅を半角とし、占めるサイズを全角にする場合は、句読点の後ろや括弧類の前または後ろに二分のスペースを挿入してもよい。詰める場合は、スペースを挿入しない、あるいは二分未満のスペースを挿入すればよい。

実際の処理系でどちらの方法を採用しているかは別にして、JIS X 4051などでは、句読点と括弧類の字幅を半角としている。

中点(中黒)の字幅

中点(中黒)の場合も同様の問題がある。印刷した状態でみると、通常の場合、中点の占めるサイズは全角であるが、例外的に二分にする場合がある。
JIS X 4051などでは、中点の字幅を半角とし、中点の占めるサイズを全角とする場合は、中点の前後を四分あけるとしている。

句読点と括弧類などのアキを詰める場合

それでは、句読点と括弧類などのアキを詰めるのは、どんな場合であろうか。いくつか例をあげておこう。以下では、JIS X 4051に従い、句読点、括弧類および中点の字幅は半角として解説する。

(1)漢数字で“にさんにん”などと概略の数を示す読点は、読点の後ろをベタ組(読点の占めるサイズは二分)とするのが原則である(二分アキとする、つまり読点の占めるサイズは全角とする方法もある)。二分アキとしない例を図2に示す。

(2)漢数字で大きな数を示す場合、3桁ごとの区切りとして読点を挿入するときは、読点の後ろをベタ組とするのが原則である(二分アキとする方法もある)。二分アキとしない例を図2に示す。

(3)段落の2行目以下の行頭に配置する括弧類の前をベタ組とする方法がある(多くの書籍がこの方法を採用している)。

(4)縦組において漢数字で小数点を示す場合は中点が一般に使用されている。この中点の前後をベタ組(中点の占めるサイズは二分)とするのが原則である(前後を四分アキとする方法もある)。図2に縦組でアラビア数字を使用した例も含めて示す。

(5)行の調整において、読点の後ろや括弧類の前または後ろを二分未満にする例がある。行の調整では行末の句点の後ろをベタ組とする例がある。

(6)句読点と括弧類などが連続した場合にアキが目立ってしまうので、字間を調整する。

(7)原則として丸括弧(パーレン)や山括弧などの前後をベタ組とする方針もある。

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(図2)

 

日本語組版とつきあう (小林敏 特別連載)