-ブランディング×デザイン力で印刷会社のソリューション力を高める【第11回】
ブランド・イメージを広告・販促物で表現する際は、情報の受け手側(ユーザー)を意識することが重要である。今回は、ユーザーを意識した情報の選定方法について述べる。
※本稿では顧客の定義を以下の通りで記している。
・印刷会社の顧客(以下、顧客)
・印刷会社の顧客の顧客(以下、ユーザー)
●企業とユーザーの視点を捉える
広告・販促物を通して企業が最低限伝えるべき基本的な情報がある。例えば、「商品・サービスの内容」「価格や支払い方法」「販売場所や購入方法」「販売元の企業情報や連絡先」が該当する。
次に、成果に寄与できる広告・販促物へ昇華するために、ユーザーの視点に立った情報を検討する必要がある。一番わかりやすい方法として、先で述べた企業が最低限伝えるべき情報をユーザー視点に変えていく方法がある。例えば、「商品・サービス」の概要や説明に加え、使用することでの効果やメリットを掲載する。「販売場所や購入方法」だけではなく、買いやすくさせる工夫として、「サービス体系」「利用までの手順」を掲載する等がある。商品・サービスの内容やユーザー層により、掲載する情報は百様ではあるが、基本的な考え方の軸として企業視点を考えユーザー視点へ転換する方法は有用である。
●ユーザーの感情を変化させる要素で購買意欲を喚起する
ユーザーの購買意欲を喚起し、購買へつなげるためには、基本的な情報以外にも必要なものがある。そこで広告・販促物を見るユーザーの感情の変化を基に構成要素を組み立てていく。広告・販促物を見るユーザーが購買行動に至るまでの感情の変化を知っておく必要がある。
特に購買に至るか否かを左右する上で重要なポイントは、3の「不安が生じる」である。多くのユーザーの心に生じるのが「リスク回避」であり購買の直前に起きやすい。ユーザー視点に立ち、購買前に生じる可能性の高い不安要素を洗い出す。そして、それらを解消できる内容を広告・販促物に掲載することで、購買行動へつながりやすくする。
各段階の感情に変化を起こすための構成要素として以下を例としてあげる。
●広告・販促物の構成はユーザーの感情に合わせて情報をレイアウトする
※本編では販促用印刷物の代表例でもあるチラシで構成を考える
基本的な情報や感情の変化を起こす構成要素を広告・販促物へ掲載する必要がある。顧客の業種や業態、認知度等によっても異なるが、ユーザーの感情の変化と紙面の流れを加味して考えた場合、以下のように情報をレイアウトしていく。あくまでも参考例ではあるがご覧いただきたい。
ここでは単純に情報を掲載するだけでは意味が無い。上記の例でいくと、単純に「お客様の感想」や「実績」を載せるのではなく、想定するユーザーの属性に近いお客様の感想や実績を掲載する等、一つひとつの要素を細かく検証する必要がある。そうした配慮が、成果のでる広告・販促物となる。
小澤 歩(おざわあゆむ)
有限会社グレイズ代表取締役 http://ozawaayumu.com/
(財)ブランド・マネージャー認定協会マスタートレーナー http://www.brand-mgr.org/
目次 | ||
第1回 | 印刷会社に求められる顧客ビジネス支援のブランディング [2015/10/23] | |
第2回 | 印刷会社がクライアントに提供すべきもの [2015/11/27] |
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第3回 | 印刷会社が取り組むべきブランド戦略構築の流れ [2015/12/01] |
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第4回 | 活動の軸になるブランド・アイデンティティとは [2016/01/05] |
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第5回 | 顧客の心の中で自社を占めるポジショニング [2016/02/05] |
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第6回 | 印刷会社ができるクライアントのブランド価値の表現 [2016/03/08] |
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第7回 | ブランドの価値は世界観とトーン&マナーでつくる [2016/03/11] |
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第8回 | デザインを統一するトーン&マナーのつくり方 [2016/04/08] |
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第9回 | ブランド・イメージをユーザーに届けるためのデザイン表現方法とは? [2016/05/12] |
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第10回 | ユーザーの購買意欲を喚起する写真、イラストの選定方法 [2016/07/15] |
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第11回 | ユーザーの購買行動を促す広告・販促物に必要な視点とは [2016/08/19] |