デジタル加飾システムの見当精度を支える特許技術

掲載日:2016年8月24日

*Scodixのデジタルニス/箔押しシステムは、1枚からスポットで加飾できる点のほかに、アナログでは難しい微細で複雑な加飾も可能な点が特徴だ。それを支えているのは「RSPレジスター方式」と呼ばれる同社の見当合わせ技術である。

10年足らずで急成長したイスラエルのベンチャー企業

世界最高峰の軍事技術の知見、数多くの優秀な技術者、そして潤沢な資金を持つベンチャーキャピタルを持つイスラエルはベンチャー企業の宝庫である。印刷業界においても同様なのは既知の事実で、drupa2016の会場を派手なパフォーマンスで沸かせたLanda(2002年設立)、Highcon(2009年設立)、Scodix(2007年設立)の3社はいずれもイスラエルのベンチャー企業である。
Scodix社は2007年、Kobi Barと Eli Grinbergの両氏 がインクジェットの加飾システムの原始的なプロトタイプを引っ提げて興した企業で、2010年にイギリスのIPEXで実機を出展、そして起業から10年も経たないdrupa2016では約100台もの受注を獲得し、成約が決まるたびにブースでは派手な鐘の音とシャンパンを開ける音が鳴り響いた。
IGAS2015でデビューした「Scodix Pro+Foil」はすでに日本のセントラルプロフィックス社などで導入され、drupa2016でデビューした「Scodix E106」は2017年第2四半期以降の発売にも関わらず、約50台が成約済みである。

特許技術「Scodix RSP」レジスター方式

「Scodix Pro+Foil」は一言でいうとデジタルニス/箔押し機であり、1台でニス引き、透明厚盛、箔押しが可能である。インクジェット方式のため、版レスで、1枚から、スポットでニス引きができる。
ここまではデジタル印刷機と同様の特徴である。特に注目すべきは、アナログ機(スクリーン印刷機や従来の箔押し機)の版では困難な、非常に微細で複雑な厚盛りや箔押しができる点である。それにより化粧品のパッケージなど高付加価値の加飾に参入できる。
微細で複雑な加飾を支えるのは高い見当精度である。同社では「ScodixRSPレジスター方式」という特許技術がそれを支えている。RSPとは「Rotate」(回転)「Scale」(計測)「Positioning」(位置決め)の略である。4台のCCDカメラが見当マークを1枚ごとに読み取り、PDFデータの位置・角度・サイズを演算補正する(紙の位置を補正するのではない)。そのため角度や伸縮にずれがあっても、例えば細かい文字やロゴの上にも高精度なニス加飾ができるのである。
そのほか、スポットの箔押しにおいて箔エリアに合わせてスタート&ストップすることで箔ロールの無駄を少なくするなど、コールドフォイルのボトルネックを見事に解消した技術などを搭載している。技術的な角度からデジタル加飾の可能性を検討してみたい。

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