【クロスメディアキーワード】インターネットメディア
インターネットは、アメリカの軍事産業や学術機関のためのネットワークとして運用されていた「ARPANET」が起源であり、その後、世界規模での情報通信を可能にしたネットワークである。
インターネットの登場と歴史
1990 年代に入り、「Web(WWW:World Wide Web)」といった概念が提唱され、ハイパーリンクを用いたネットワークシステムが公開された。Web 技術は、ハイパーテキストとハイパーリンクをその根本に持つ広大なネットワークシステムである。
商用利用が解禁されたインターネット上には数々のWebサイトが構築され、企業による「コーポレートサイト」や「EC(Electronic Commerce)サイト」、製品やサービスの「キャンペーンサイト」などに活用されるようになった。さらに、「NTT ドコモ」による「iモード」の登場によりケータイ(携帯電話)による接続が可能になり、活用範囲がさらに広くなった。
メディアとしてのWeb サイト
「Web 技術」の根本にある考え方は、閲覧するデバイス(機器)やその接続環境に左右されず公平に情報を取得できることである。したがって環境の相違で、必ずしも同じ体裁で情報が閲覧できるとは限らない。ペーパーメディアの多くは、規定のサイズ(A4 やB5など)で提供され、固定のレイアウトで提供される。Webコンテンツとして制作されたデータは、多くの場合、閲覧者の環境によりデザインやレイアウトが変化する。パソコンだけでなく、スマホ(スマートフォン)をはじめとしたさまざまなデバイスが相次いで登場し、その利用者は増加し続けている。
Web 技術
Web技術はインターネットの普及とともに、専門分野の利用者が多かったコンピューターネットワークによる通信を一般的なメディアとして変化させた。
また、「Web 技術」は、「個人サイト」を爆発的に増加させ、「コーポレートサイト」のほか「コミュニティーサイト」やアプリケーションソフトウェアをダウンロードできる「ポータルサイト」など「Web サイト」の拡大に貢献した。さらに、「チャット」や「通話」などさまざまな機能を生み出しながら、成長し続けている。
ポータルサイトの特徴
「ポータル(portal)」とは、「門」や「入口」などといった意味を持ち、インターネット上で無数に広がるWeb サイトへの入口となる「検索」「リンク」のほか、「事件」や「株価」などの「ニュース」をはじめとする情報提供を行っている。さらに、「BBS(Bulletin Board System:電子掲示板)」や「チャット」「Webメール」などといったサービスを提供することで莫大な利用者を獲得し、広告収入に支えられるビジネスモデルを実現した。
「グーグル(google)」をはじめとする検索エンジンを提供する事業者によるWeb サイトのほか、「マイクロソフト」などのWeb ブラウザーを提供する事業者が展開するWeb サイト、インターネットのプロバイダーである事業者によるWeb サイトは、ターゲット(対象者)を絞らないポータルサイトとして競争している。
ポータルサイトの持つ機能的な傾向は、ビジネスモデルを重視し大きな変化を繰り返すことで、個人ごとに掲載する情報を変化させる「パーソナライズ」も実現している。さらに中古車情報や住宅情報などを提供するほかのWeb サイトと提携することで、ポータルサイトとして幅広い情報の提供を行っている。
ポータルサイトの収益は、広告によるものが大半を占めるが、「オークション」や「ショッピング」などのような機能を提供することで「手数料収入」を得る事業者も存在する。また、インターネットの帯域が広くなったことで、「映画の予告」やテレビ放送向けの「CM(Commercial Message)」など、映像のストリーミング配信も利用されるようになった。
メールマガジンの特徴
「メールマガジン」とは、電子メールを利用することで登録者に定期的な情報配信を行うサービスであり、略して「メルマガ」とも呼ばれる。「バックナンバー(過去の記事)」の多くは、Web サイトに再掲載される。有料と無料のサービスがあり、ほとんどの無料サービスでは数行の広告が掲載される。
情報の発信者となる発行者は、企業や個人などさまざまであり、企業によるものでは商品情報やニュースリリース、特定分野についてのコラムなど、非常に多岐にわたる。メールマガジンは、文字だけで構成することが可能であり編集が容易であること、「まぐまぐ」や「メルマ!」などの配信システムを無料で提供する事業者が存在することなどにより、インターネットが普及する中で早期からメディアとして地位を確立した。
利用者は嗜好に合わせメールマガジンを検索と選択を行いメールアドレスを登録することで、無料でメールマガジンが配信されるようになる。配信システムについては無料で提供されていることが多く、メールマガジンに掲載される広告によりビジネスモデルが成立している。
メールマガジンの活用
企業により提供されるメールマガジンとしては、事前に受信を承諾した利用者に対し配信する「オプトイン」によるサービスが一般化している。企業による「メールマガジン」は、マーケティングの一つである「メールマーケティング」として活用されている。この場合、利用者の「年齢」「性別」「居住地」「趣味」「嗜好」をデータベースにより蓄積することで、さまざまな「コミュニケーション」を実現する機会をうかがう。
Web サイトを利用する顧客を待つだけではなく、新規顧客をリピート顧客として育成し囲い込む重要性が高まり、メールマガジンは注目された。さまざまな告知手段と比較した場合においても、メールマガジンによるリピート顧客への育成は期待できると評価されている。メールマガジンは顧客にとって有用な情報源となり、「読み物」としての楽しいものが好まれ、工夫次第で「商品案内」として製品やサービスに対する理解を促す。ただし受信されたメールマガジンがすべて読まれるわけではなく、受信者のほとんどは、「件名」や「目次」で判断するなど、「ペーパーメディア」による「DM(Direct Mail)」と近似した傾向がある。
JAGAT CS部
Jagat info 2015年5月号より転載