7月の売上高は4カ月連続減少の△7.1%、マイナス幅が2カ月連続で拡大、減少傾向が顕著となった。マイナス幅はリーマン・ショック後(2009年)に匹敵する大きさ。受注件数も△3.2%と3カ月ぶりの減少。
地域別では、首都圏(△8.0%)が3カ月連続の減少。大阪圏(△10.6%)は4カ月連続の減少、比較的堅調だった名古屋圏(△9.7%)も大きく落ち込んだ。
業種・業態別では、商業印刷(△5.6%)が4カ月連続の減少。出版印刷(△0.6%)は2カ月連続の減少。地方に多い業態の総合印刷(△7.5%)も2カ月連続の減少。紙器・事務・その他(△13.0%)は減少が加速。
土日祝日の日数が昨年7月より2日多い(2016年11日、2015年9日)ことが大きかったかもしれない。営業日数が約10%違う。地域別・製品別の一律的な落ち込みはカレンダー要因の可能性が強い。参院選需要が多少なりともあったにも関わらず落ち込み幅が大きすぎるように思われる。
仕入額は、用紙(△8.2%)が3カ月連続減少。インキ(△6.1%)は12カ月ぶりの減少。CTP/PS版(△7.6%)は2カ月ぶりの減少。
本調査のあらゆる指標が全体的な低調さを意味している。ただし株価や為替など経済全般はまだ変調ではないし、参院選は政権与党の圧勝だったから、政権基盤の安定は今後の経済の好材料として期待できるが、春からの印刷市場の弱含み推移には留意したい。
【印刷会社経営者の声】
■ 茨城:商業
ISOの定期審査が終了しました。早急に指摘事項の改善を進めます。
■東京:商業
6、7月と動きがなく低迷気味です。9月以降に期待しています。
■東京:商業
助成金を活用し、設備を導入しました。「付加価値」の議論になると、当社から見た付加価値に陥りやすいのですが、お客様から見た付加価値を忘れず、また提供できるようにしていきます。
■ 長野:総合
紙メディアとインターネットの長所を組み合わせることで、消費者にとってもさらに魅力的なキャンペーンを企画することが可能になってきました。メディアを効果的に組み合わせることで生まれるメリットを、広告主と消費者の双方に提供していきます。
■ 岐阜:総合
来春卒の新卒採用活動を行っているのですが、苦戦しています。業界のイメージ、自社の魅力を学生たちにしっかり伝えられなければ今後も苦労することになりそうです。人材獲得に関してのライバルは、同業ではなく他産業であることを強く実感しています。
■ 岐阜:その他
新年度に入って1カ月経過しましたが、業績に急ブレーキがかかった感じです。前期は好成績だったのですが…。世の中そんなに甘くない。ここからが頑張りどころ。悲観的にならず前向きにいきます。
■ 和歌山:商業
印刷会社を経営するに当たり、「顧客の創造」「利益」よりも優先される「安全」において人身事故が発生しました。幸い、大事には至らなかったものの、もう一度服装や規律を見直すとともにヒヤリ・ハットの芽を摘み、再発を防ぎたいと思います。
■ 岡山:商業
人材の確保が課題となっています。定着率の向上を考えていかなくてはなりません。