リードナーチャリングに最適な印刷物~JUMP2016開催報告

掲載日:2016年9月27日

今年度のJAGAT地域大会(JUMP)は、東北地区(仙台:宮城県印刷会館)を皮切りに、中国・四国地区(広島:KKRホテル広島)、九州地区(福岡:福岡印刷会館)と各地で開催してきた。これからの印刷業界に必要なマーケティングの実践への第一歩とすべく、各地で講演とディスカッションを行っている。

 

JUMPは、各地の企画推進メンバー代表による開会の辞でスタートし、JUMP中国・四国2016では森澤彰彦JAGAT副会長(株式会社モリサワ代表取締役)によるkeynoteスピーチが行われた。
「印刷業界に必要な顧客獲得に向けた新たな戦略」と題し、自社で取り入れたマーケティングオートメーションツール(Marketo)を使って、実際にpage2016でどのようなシナリオで集客とその後のアプローチを行ったか、そしてどのような結果が得られたかについての実例が紹介された。この間、MAを15のイベント活用してきた結果、顧客情報獲得において当初より3倍増となり、新規見込客数が約10%増となったとのことである。

続いてJAGATからの報告として、研究調査部長の藤井建人が『印刷白書』を始めとする各種レポート発行を通じて明らかになった「印刷ビジネスの最新動向」を解説した。

次に、JAGAT専務理事の郡司秀明が「印刷業界の近未来を読み解く-これから印刷会社が取り組むべきこと」題し、2020年に向けた印刷ビジネスについてJAGAT的価値観でとらえた業界の方向性や印刷会社の姿を、マーケティングとの関連や、マーケティングオートメーションに最適なツールとしての印刷物などと絡めて解説し、特別講演「販促活動の効率化から見る顧客開拓の未来」へとつなげた。

特別講演の講師には、名刺管理システムでは日本でトップシェアを持つ(株)Sansanのコネクタ、日比谷尚武氏を招いた。どんなビジネスでもスタートは名刺交換から始まるので(日本で名刺を持たない企業は皆無であろうとのことである)、マーケティングは関係ないよという人でも学ぶ入り口としては取っ付きやすくハードルは低いと考えたからである。

講演では「そもそもマーケティングとは?」から始まり「マーケティングプロセスの標準」、「マーケティングオートメーションとは」といった基本的なことから、実践するための設計、データベース構築、PDCAなどについて事例を交えながらの解説が行われた。
MAツールは導入すれば何か自動的に成果が出てくるといった万能ツールではなく、きちんとしたシナリオ設計が必要で、決して簡単なものではないという。やはりそれなりのノウハウを蓄積していくことが必要で、そのためにもいち早く取り組む必要がありそうである。

講演終了後は、参加者の理解を深め疑問や不明点を解消すべく、専務理事の郡司が日比谷氏と対談形式で業界の立場からの質問や補足解説を行った。
郡司曰く、MAプロセスにおいて実は印刷物は非常に親和性が高く、特にデジタル印刷によってONE to ONEコミュニケーションも可能となり、デジタルメディアよりもはるかに効果的なツールとしてシナリオに組み込めるものである。メールやWebサイトでは不可能な、五感に訴える印刷物の強みは、見る人の購買意欲を掻き立てるであろうし、それが“リードナーチャリング(見込客を顧客へと育成する)”そのものであるからだ。

JAGATではこの後、10月7日(金)のJAGAT大会(東京:椿山荘)を経た後、同テーマを掲げて11月25日(金)のJAGAT近畿大会(大阪)、2017年1月26日(木)のJAGAT中部大会(名古屋)へとつなげて行く。

(CS部 橋本 和弥)