drupa2016の主役はデジタル印刷機、それもインクジェット印刷機であったといっても過言ではないだろう。しかし、用紙対応については課題が残されている。
drupa2016の主役はデジタル印刷機、それもインクジェット印刷機であったといっても過言ではないだろう。印刷できるメディアも多様化している。 しかし、特に水性インクジェット印刷機については、印刷用紙への最適な定着、乾燥方法を巡って、さまざまな対応がある。印刷適性ではインクジェット専用紙を用いるのが一日の長があるが、drupa2016では、既存のオフセット用紙に水性インクで印刷するというソリューションが、いくつかのメーカーから提案されていた。
既存のオフセット用紙への印刷
水性インクのインクジェット印刷機で既存のオフセット用紙に印刷する方式は大きく3つに分けられる。
1)プライマー処理方式
インライン、オフラインを問わず、オフセット用紙表面に処理液を塗布し、着弾されたインクを速やかに定着させる最もオーソドックスな方式。
2)直描方式
紙表面に一切の前処理がなされていない用紙に直接インクを吐出する方式。
3)転写方式
インクをベルトやドラムに描画してから用紙に転写する方式で、紙を選ばないことが大きな特徴である。話題のLanda社の印刷機がこの方式である。
いずれの方式についても技術的な課題は残されており、いずれかが直ちに主流になるとは考えにくい。
産業用の専用インクジェット用紙は5タイプ
一方で、専用紙は次の5つのタイプに分けられる。
1)非塗工トリート紙
抄紙機のサイジング工程でインク定着剤を同時に表面処理(Treatment)したトリート紙(Treated paper)の非塗工タイプ。
2)高平滑トリート紙
非塗工のトリート紙をカレンダー処理して高平滑にした疑似マットコート紙。
3)微塗工トリート紙
トリート紙と同様な工程で顔料を少量塗布したもの。
4)従来のインクジェットコート紙の廉価版
写真やプルーフなどに使われる従来型インクジェット専用のコート紙は価格が高すぎて産業用には不向きである。そこで、その廉価版、あるいは同様な素材を少量使用したタイプがでてきている。
5)オフセット紙の風合いを持った素材、またはその微粒品を使ったコート紙。
印刷性と経済性に加え、オフセット紙の風合いを持った産業用にバランスよく設計されたコート紙。
いずれにせよ印刷機と印刷インキと印刷用紙は切っても切れない三位一体の関係にあり、その動向は見逃せない。
「デジタル印刷の進展と用紙の動向」 三菱製紙株式会社 木村篤樹紙
デジタル印刷レポート2016-2017より抜粋
木村氏は、10/25(火)「インクジェット徹底研究」セミナーにも登壇します。