今回のJAGAT大会2016では藤原洋氏をお招きし、講演及びディスカッションを行う。氏はインターネットの創世記から、村井純慶応大学名誉教授らと共にインターネットの発展に尽くした方である。
JAGATが注目したのは、インプレスのNextPublishing(1冊からPODで印刷・製本する出版システム)で見つけた『日本はなぜ負けるのか ―インターネットが創り出す21世紀の経済力学―』の著者としてである。本の内容は少々辛口なのだが、その着目点や論旨の鋭さに感銘を受け、印刷業界の方にも必ず参考になるはずと確信し、お願いした次第である。
JAGAT大会2016での講演は【インターネットが創り出す21世紀の経済力学 ― 勝ち抜くための処方箋】だが、「目から鱗」的な刺激を受けると確信している。世界の中での日本を冷静に眺めてみると、日本だけGDPが落ちているのだ。「それがなぜなのか?」氏の話を素直に聞くと、日本だけではなく、印刷業界が目指すべき未来も見えてくると思う。
そして藤原氏を囲んでのディスカッションのテーマは「差別化戦略と新たな仕事の創出」である。他に登壇いただくのは、pageカンファレンスのモデレーターとしてお馴染みになっているインプレスR&D社長の井芹氏、印刷業界の中でダイレクトマーケティングをDMで実践されてきたフュージョン社長の花井氏、そしてJAGATの塚田会長だ。
印刷業界に限定してしまうと議論の発展性が難しくなってしまうので、印刷業界へ近づけるのは、まとめ役の塚田会長とモデレーターの郡司の役目として、他の登壇者の皆様には、日本の近未来の産業の姿について自由に話していただければと考えている。
印刷業界のこれまでの差別化とは、マスに特化したスピードやコスト、もしくは品質というのがこれまでの価値観だったが、これからはインターネットと結びついた印刷、つまりマーケティング情報(具体的にはMA・マーケティングオートメーション)等と関連した印刷、DMやパーソナライズカタログ等々、つまりこれからはカスタマイズされた印刷物を造る技術も立派な印刷技術だと(私は=JAGATは)思っています。こんな議論もしたいと思う。
おそらく印刷業界を熟知されている井芹氏からは賛同を得られると思うのだが、肝心の藤原氏からはとんでもない反応が得られるかもしれない?これに関してはまったく予想もつかない。
役回りを説明しておきたい。
・藤原さんには、インターネット最前線から世の中を見られてきたので、日本に対して、印刷業界に対して先鋭的な辛口発言をお願いしている。
・井芹さんには、藤原さんの辛口に対しての通訳と補足、また印刷業界を熟知している人間からの提言をお願いしている。
・花井さんには、印刷業界でダイレクトマーケティングを実践されてきた人間として藤原さん等の意見に対して、印刷業界はどうするべきか?という点についてコメントいただきたい。
・塚田会長にはまとめ役だが、印刷業界も決して特殊ではなく、やっぱり世の中の流れに沿っていかねばならない。しかしその速度辺りでの温度差はあるかな?とのコメントをお願いしたい。
こんな方々で(みなさん、弁の立つ方ばかり)議論するわけだから、100分でも正直足りないと思っている。世の中の大きな流れ(インターネット、IT化)には逆らえず、むしろ印刷業界はそれに乗って生き残った方が良いという考え方がJAGATの立場だ。マスと非マス(印刷的には小ロット、One to one)ということは必ず取り上げたいと思う。
しかし、そのバランスや、どちらかに特化すべきなのか?も大きな問題である。IoTのイメージにも触れられればと思う。
藤原さんから、「印刷のことはよくわからないけど、こんなことが出来て当たり前じゃない?!」的な発言もおそらく大きな示唆を含んでいると思う。
白熱の議論をまとめるのが塚田会長と郡司の役目ですが、ディープな議論が出来れば、とりあえず合格点だと思っている。どうぞご期待ください。
(JAGAT専務理事 郡司秀明)
関連イベント
2016年10月7日(金) 13:30~19:40(予定)
会場 椿山荘
<参加費>
1名様 20,000円(税込み・懇親パーティー込み)
2名様以降1名に付き 18,000円(税込み・懇親パーティー込み)
*多くの方にご参加いただけるように1社複数参加費を設けました。
例えば、2名様でお申し込みの場合は20,000円+18,000円=38,000円となります。