人材育成は会社主体のサポートか? 社員まかせの自助努力か?

掲載日:2016年12月15日

有効求人倍率が25年ぶりの高水準を示して話題になっている。安倍政権の経済政策の効果もさることながら、止まらない少子高齢化によって必要な人材が確保しにくくなるということで、今後は企業の採用環境が厳しさを増していくものと予想されている。

企業にとって人材の重要性はあらためて論ずるまでもない基本である。いずれAIやIoTによってさまざまな仕事が代替されるといわれているが、いったいどのような仕事に人が不用になるのか確定しているわけではない。そのようなことが現実になるまでは(さらにAIやIoTが人に変わって仕事をするようになったとしても)、企業にとっては人材の重要性が薄れることはないだろう。したがって、自社のビジネスにそった優秀な社員を採用することは言うまでもないが、入社した社員の潜在能力をできるだけ引き出す体制や教育サポートが重要になる。

リクルートでは若年雇用領域における2017年予測で、キーワードとして「育成枠採用」ということを紹介している。これは、従来の若年層中途採用でも即戦力が求められる傾向が強かったが、近年は人材育成を前提とした採用を行う企業が増えているということらしい。その実情はともかく、ITがビジネスインフラ化している現状では、ビジネス環境は常に変化し続けているわけで、ビジネスパーソンは絶えず新しい情報を収集し、知識を習得していかないとビジネスでの成功は難しくなっている。ところが社員のスキルアップや能力開発を個人の自助努力だけに依存することは、自社のビジネス展開を考えると、けっして得策ではない。なぜなら個人に期待するだけでは、会社が必要とし、期待する能力を伸ばすとは限らないからだ。

現在の、さらには将来的に自社ビジネスに必要になると思われるスキルや知識、さらには全般的に会社が期待するビジネス能力の向上を求めるのであれば、会社が自社ビジネスの方向性を明らかにし、それに必要になるスキルや知識を示していくことが重要になる。さらに、そういった人材を育成する教育システム、あるいはサポート体制も必要になるだろう。「JAGAT info」12月号では、以上のような観点で資格取得を社員教育に活用して、社内の課題解決にもつなげようという印刷会社の取り組みを紹介している。ご一読ください。

このほか2017年2月に迫ったpage2017で、新たな試みとして展開する「印刷パートナーゾーン」に出展する各社の展示内容などを紹介している。本誌で各社をチェックして、ぜひ、実際にブースに足を運んでいただき、情報交換等を行って自社とのコラボレーションの可能性を探ってほしい。
(JAGAT info編集担当)

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