一般的に1月11日は鏡開きの日とされている。神様がいらっしゃる1月7日までを松の内と呼び、鏡開きは松の内が明けた11日に行うのが一般的だ(地域によって違いがある)。神様の霊力はお供えした鏡餅に宿っている。刃物を使わず木づちなどで割って(鏡を開く)、雑煮などで食べることで新しい生命をいただくことができるというわけだ(しかし我が家の鏡餅は1月3日にカビが生えてしまった)。ということで仕事始めからようやく1週間、エンジン全開といきたいが、まだ新年会の予定がある方も多い時期だろう。
2017年(平成29年)の干支は、酉年(とりどし)。酉は、十分に熟し実りある状態ともいわれる。十二支や干支の考え方では、酉のつく年は商売繁盛になる。ちなみに、酉年の人は行動力があり、親切で面倒見がよいという特徴があるという。
2017年がスタートし新年度もアッという間だ。この春、新入社員を迎える企業も多いだろう。
日本独特の新卒採用市場
日本では、大学生後半になると皆一斉にリクルートスーツを身にまとい、企業説明会や面接へ足を運ぶ。こうした就活活動は、日本独特のものであり、海外では目にしないようだ。欧米では労働市場が流動的であり、必要に応じ補充する通年採用が基本だ。即戦力が前提条件のため、日本のように入社直後の新人研修の風土はない。そのため、学生時代から専門知識やインターンシップなどで実務経験を積む慣習がある。しかし、欧米企業は一般社員のスキルアップや人材育成研修について、日本企業に比べるとより積極的のようだ。
なぜ日本は何もできない新入社員を採用するのか。その理由として、職務を決めずに入社するだけの雇用契約のため、企業側が入社後に人事権を用いて各仕事に就かせることができるからだ。
欧米の就職事情は、専攻や研究分野と職業選択に一貫性がある。言い換えると日本は非常に柔軟で、専攻と職業選択との関係性が低く、文学部や工学部の学生が金融機関に就職することも少なくない。
また欧米では、学生が学んだ知識や経験等の結果が、企業が求める条件にどれだけマッチするかが採用の決め手となる。それに比べ日本の採用条件は、人柄や適性、伸びしろをも重視するなど、欧米とは異なる方法をとっている。
新人を受け入れる覚悟と工夫
日本の3年以内離職率は、大学卒3割、高校(短大)卒4割にのぼる(厚生労働省調べ)。企業規模が小さいほど離職率は増加することを考慮すると印刷会社は中小が多いので離職率はより高くなる。
関西でも経営者の方に伺うと、定期採用は近年なかなか継続せず中途採用が多い。また、良い(望む)人材の採用ももちろんだが、離職の多さにも頭を抱えている。
新人受け入れ企業側では、ずぶの素人である新人の教育方法が課題だ。まして教える社員が教えることに素人であると、これまた都合が悪い。とくに常識やマナーを持ち合わせない先輩社員に教わることになったら、教わる新人をはじめ企業も不幸であり、最悪のケースでは退職という事態になりかねない。
近年の売り手市場の就職戦線のなか、業界中小企業の人材確保はたいへん困難な局面にある。そのような環境でも人材を確保し、しっかり自社の求める人材に教育していく覚悟が必要だ。
新人研修は、受け入れ企業側にとって時間とお金はかかるが自社教育できる貴重な機会だ。一方、新人社員にとっては、入社直後という社会に投げ出された不安の多い時期でもある。よって新人研修の担当や方法を誤ると、新人社員のなかに、自分と企業とのギャップがより大きくなりがちだ。
どのような方法で新人を育てるのか、すべての企業に知恵と工夫が求められる。
(西部支社長 大沢昭博)
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