印刷会社の地域活性ビジネスに対する取り組みは政府の地方創生策の後押しもあって急速に市民権を得た。しかしそのビジネスとしてのあり方は徐々に変化している。
印刷会社における地域活性ビジネスの広がり
印刷会社による地域活性の取り組みが普及している。ほぼ一般化したと言っていいレベルの広がりではないか。数年前は「やらないよ、儲かるの?」「なんで印刷会社が地域活性をするの?」と言っていたような印刷会社までが取り組んでいるケースも散見される。取り組んでいないにせよ、地域活性への取り組みを否定する声を聞くことはなくなった。数年前まで、地域活性の効能に懐疑的な人に対し、その意義を説くのに苦慮している印刷経営者の嘆きを聞いたものである。
印刷会社が解決すべき社会的課題は時代とともに変わる
印刷会社にとって、印刷物の生産そのものが社会的課題の解決だった時代があった。かつては高度経済成長に伴って増える情報を印刷することが社会から強く求められていた。しかし印刷物が充足、あるいは印刷物がインターネットに置き換わる現代、印刷会社にできる社会的課題の解決とはなんだろう。社会的課題の解決とはゴーイングコンサーンとしての企業の存在意義に等しい。経済成長には頼れなくなり、成長を自ら創り出さねばならなくなった。そこで地域活性である。
印刷会社が地域で果たす役割 : 「地域メディア」の創出と運営
印刷会社の強みは、地域に地盤があること、情報加工技術を持つこと、人脈のネットワークがあること…。こうした強みを組合せて考えると地域活性に行き着く。地域に根ざした資本、情報と技術、人脈を合わせ持つ産業が印刷以外にあるだろうか。印刷会社の強みと地域の強みを組み合わせて地域メディアを創出、自社と地域の再成長を同時に促すビジネスモデルがありうる。
2月9日の「印刷会社の地域活性メディア戦略」では、『ローカルメディアのつくりかた』の著者、『ひろしま食べる通信』を展開する印刷会社、東北でWEBやフリーペーパーを展開する印刷会社、といった独自の地域メディアに精通する各氏を招いて地域活性メディアについて議論する。
印刷会社が地域で果たす役割 : 「ものづくり」から「まちづくり」へ
印刷会社が地域活性に取り組むとき、印刷物を含むメディア制作面からできることがないかを考えることは一義的には当然だ。しかし『印刷会社と地域活性vol.3』の調査結果によれば、近年の印刷会社は制作のような“ものづくり”だけでなく“まちづくり”そのものに関わっていきたいとの考えを強めている。
そこで、2月9日の「地域活性とインバウンドのまちづくり」では、地方創生コンサルティングのJTB総合研究所、10人の小規模印刷会社ながら10万人級のイベント「すみだストリートジャズフェスティバル」を企画運営する東京の印刷会社、400機のビーコンを県内に張り巡らしICTも活用して観光客の動向を探る新潟の印刷会社、といったまちづくりにまで踏み込む各氏を招き、地域活性とインバウンドをとおした印刷会社のまちづくりの現状と可能性について議論する。
JAGAT 研究調査部 藤井建人
関連情報
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・2月9日(木) 13:00~15:00 「印刷会社と地域活性① 印刷会社の地域活性メディア戦略」
・2月9日(木) 15:45~17:45 「印刷会社と地域活性② 地域活性とインバウンドのまちづくり」
・レポート「印刷会社と地域活性 vol.3」