印刷業定点調査 各地の声(2014年7月度)

掲載日:2014年11月6日

2014年7月の売上高は+1.6%と消費増税前の3月以来4カ月ぶりの伸び率プラスになり、少しずつ売上高は回復している。

しかし、1.6%ではまだまだ消費増税分の上積み(3%)を吸収しきれていないといえる。
考えてみると、売り上げの増加した企業よりも売り上げの減少した企業の方が多い。全体を合計すればプラスなのだが、良い企業はとても高く、そうでない企業は依然として低い、というちょっと極端な二極化の状況である。

地域別には、消費増税後、首都圏が三大都市圏で最も遅れ、初のプラスとなった。名古屋圏は最も安定している。大阪圏は再度失速している。

業種・業態別には、市商業印刷は引き続き回復傾向を示している。地方に多い業態の総合印刷が商業印刷を上回った。

受注件数は3カ月ぶりのプラスだった6月に続き、微減程度(△0.3%)と安定しつつある。用紙仕入額(+6.5%)と労働時間(△0.7%)が増税後、最も高い数字となった。工場の稼働が多少戻ってきたことを意味している可能性がある。

【印刷会社経営者の声】

・茨城:商業
環境の変化に合わせ、組織の見直しをしています。まずは保守的な考えを見直す・変えることが先だと思います。

・東京:商業
景気や業界が好転しない中、今月は会社全体で盛り上げ、売り上げを伸ばすことに成功しました。

・長野:総合
情報媒体の変化に対応して、提案型営業への転身を考えています。印刷とデザインの持つ強みを発揮できるもの、紙ベースでしかできないものを提案できるようにする。これまで培ってきたノウハウを生かし、顧客ニーズに応える技術が必要です。

・石川:商業
当地域でも新聞・テレビなどで印刷通販の広告が頻繁に打たれ、得意先で話題にされたり、価格の比較をされたりするようになってきた。既に移行する顧客が現れたり、値引き要請がされたりするなど、営業は対応に苦慮している。

・岐阜:その他
今期のスローガンを「remake-remodel」とした。「変える」「変わる」、容易なことではないが、意識的に取り組み。時代に合った姿形であり続けたい。

・岐阜:総合
消費増税後の景気後退もそろそろ落ち着く頃ではないかと思います。印刷物の需要は企業活動が活発にならないと出てきません。8月以降の景気に注視していきたいです。

・和歌山:商業
売り上げは依然下げ止まりませんが、GW明けから始めた、事業ドメインを再定義した新規事業が少しずつ受注につながってます。改善を加え、柱となる事業に育てていきたいと思います。

・福岡:商業
消費増税後の市中の景気動向および、消費者動向などは、想像以上に悪い。特に建設、不動産、自動車、家宅などが動いていない。チラシの件数などに表れている。