特殊印刷=高付加価値なのであろうか?印刷メディアのコーディネートを考える
1980年に刊行された『第三の波』で、アルビン・トフラーが未来は『ハイテク・ハイタッチ(人との触れ合いを高める)』の時代になると予想していた。ハイテク化が進むと人はより人との触れ合いを求める傾向になるということだ。
そこでハイテク・ハイタッチの視点で高付加価値な印刷ビジネスを考えてみた。
今日の印刷ビジネスでは、急速なハイテク化への対応が迫られている。デジタルやWeb等のメディアの進歩は著しい。一方、印刷会社においては、従来のオフセット印刷技術を中心にした印刷ビジネスが過当競争に陥り付加価値を上げることが難しくなっている。
付加価値を求めて特殊印刷技術が話題になることがある。特殊印刷技術は、箔押や浮出の触覚、香料インキでの匂い、食べられるインキでの味覚、音、蓄光インキでの光、ICチップでの音など人間の五感に訴える効果が考えられる。ハイテク時代にハイタッチ(人との触れ合いを高める)を実現できる一つの手法であると言えよう。
しかし、果たして特殊印刷=高付加価値なのであろうか。確かに特殊印刷には、驚きがあり、珍しさがあり話題にはなりそうである。しかし、その効果が目的にかなっていなければそれまでである。
価値のポイントは、世の中(ターゲット)のニーズに合っているかどうかである。したがって大切なのはマーケティングだ。言い換えれば、目的と手段を理解することだ。
ハイタッチ、すなわち人の人との触れ合いを求める欲求に応えることを切り口とすれば、特殊印刷はあくまで手段の一つであるということである。目的にあっていれば、手段は他の五感に訴えるメディアでも、充分に考えられる。特殊印刷技術を売るのではなく顧客に効果をもたらす手段を提案できなければ本末転倒になってしまう。
とは言え、特殊印刷技術は、印刷業の強みを生かせる可能性が高い分野だ。マーケティングを意識してコミュニケーション計画を立案し、メディアをコーディネイトする能力があれば強力な武器となりそうだ。
JAGATでは、プリンティングコーディネーター講座第20期を10月上旬に開講予定。ハイテク時代だからこそ、ハイタッチ感覚で様々な印刷メディアをコーディネイトする能力を身に着けてみよう。
(CS部 古谷)