厳しい採用市場で勝ち抜くために自社のリアルを伝える

掲載日:2017年7月4日

内定辞退、早期退職。採用が難しい時代には、自社のリアルを伝えることが重要である。

人事を悩ます内定辞退、早期退職
2017年の新卒採用状況は依然として売り手市場が続いている。マイナビの「企業新卒内定状況調査」によると、9割の企業が採用活動を「厳しかった」と回答しており、採用活動は困難を極める。また、内定及び採用後の問題として内定辞退、早期退職があげられ、拍車をかけて人事担当者の頭を悩ませている。

就活生の企業を選択するポイントとして、「安定性」「高い給料」が上位を占め、結果として大企業志向が強い。ただ一方で、企業の規模を問わず「働きがい」「やりたい仕事ができる」「社風が合う」等、仕事の価値観に焦点を当てる就活生が多いのも事実だ。大手企業の採用優位に変わりはないが、価値観の土俵であれば、中小企業にも優秀な社員を獲得できるチャンスは十分にある。

企業や仕事の価値観を伝える
中小企業の採用活動は、多くの学生に自社を認知してもらうことがスタートだ。就職サイトへの掲載、採用Webページの開設等が認知の第一歩であるが、インターネットからリアルな自社の採用説明会にいかに多く集客するかが第一の壁となる。
したがって就活生が説明会に参加したくなるように訴求するためには、「企業風土」「理念や経営者の想い」「仕事内容」「やりがい」「職場環境」など、仕事の価値観に焦点を当てることで、給料や安定性ではなく、自社の仕事環境に興味を抱かせることが重要だ。印刷会社の仕事で言えば、企画からデザイン、加工まで一貫して関わり、世界に一つだけのモノをつくる経験ができることや、デジタル施策と融合したプロモーション支援の経験など、印刷+「α」の魅力や、仕事の社会的意義を伝えられる。そこに、実際に働いている「人」を織り交ぜながら訴求していくと説得力が増す。

「インターンシップ」「工場見学」等の体験型イベント
ただし、注意しなければならない点は“リアル”に伝えることだ。どうしても良い面だけや、現実より少し盛って伝えようとしがちになるが、訴求したメッセージと現実(リアル)にミスマッチが生じれば、説明会から面接へ、面接から内定承諾へ繋がらないだろうし、入社したとしても、早期退職が発生するリスクが高まる。これが第二の壁だ。そこで“リアル”を意識することでミスマッチのリスクを軽減させる必要がある。採用説明会の場に実際に現場で働いている社員を登場させたり、工場見学といった方法があるが、最近、中小企業でも導入が進んでいるのが「1DAYインターンシップ」である。印刷やアプリケーションを活用したデザイン体験等を実施している印刷会社もある。また、年齢の近い若手社員が就活生に教えるケースが多く、仕事内容は勿論、職場環境をリアルに伝えることができるのでメリットは高い。1日で終了するので双方に負担が少ないため取り入れる企業も増えている。

中小企業は知名度で就活生を集めることはできないが、仕事内容やその社会的意義が高い企業も多く、そのリアルな姿(仕事のやりがいだけではなく厳しい面も)を伝えることができれば、共感する優秀な就活生は必ずいる。地道な努力が必要ではあるが、中小企業の新卒採用もまだまだ、チャンスがある。

CS部 塚本直樹

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