3D立体印刷のススメ

掲載日:2014年10月30日

レッドオーシャン真っただ中のコスト競争の印刷ビジネスから、他社に真似のできない印刷ビジネス(例えば3D印刷)へ転換してはいかがだろうか?

3D印刷と言っても、今流行りの3Dプリンタのことではない。レンチキュラー印刷とも呼ばれている100lpi程度の細かい筋状のレンズを使って、両目の視差を利用して立体感を得るという手法である。両目で得られる視差が近くのモノでは大きく、遠くのものでは小さくなるという理屈を使うのだが、今までは職人さんの経験から得られたノウハウを駆使しないと、上質な3D画像を作成するのは困難だった。しかし、3D立体画像を効果的に作れるソフトが開発され、CTPをはじめ、UV印刷材料が格段に進歩したおかげで、一昔前の3D印刷とは比べ物にならない精密な印刷が、現在では可能になっている。

3D印刷には、2通りの表現がある。奥行き感を表現する3Dデプスという方法とその物体自体までを立体化させるリアル3Dという表現方法だ。精度も上がったので、歌舞伎舞台の書き割的な3Dデプスよりは、その物自体が立体的に見えるリアル3Dに大きな魅力を感じるが、その効果も良質な3Dソフトにより比較的簡単に得られるようになっている。

現在の印刷業界を観ていると、ネットプリントに代表される印刷通販のように、コスト優先ということで、コストダウン競争がとどまることがないレッドオーシャンの真っただ中というイメージが強い。この辺で再び技術優先、他社では真似のできない印刷物を送り出して、余裕を持ったビジネスをしてみたいと思っている会社は少なくないはずである。

今回テキスト&グラフィックス研究会では、3D印刷のソフトを開発している株式会社立体技研とレンチキュラーシートとは一線を画しているHALS(360度方向に立体効果が得られる)を世に送り出しているグラパックジャパン株式会社を招いて、ブルーオーシャンを目指す印刷ビジネスを支える、3D技術についてご教授いただく。その可能性について体感いただき、自社の印刷ビジネスをどういう方向に向かわせるか?じっくり考えていただきたいと思っている。

(JAGAT理事 郡司秀明)

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2014年11月5日(水)開催
レンチキュラー印刷、立体印刷の今

レンチキュラー印刷・立体印刷の現在とその応用として、
立体画の原理・技術、製造方法、レンチキュラー印刷のための専用ソフト、
今後の市場開発などついて取り上げる。