クレーム(苦情)は宝物か

掲載日:2017年7月12日

職場でも家庭でも社会生活を営む者にとって避けては通れないのがクレーム対応だ。とくに印刷会社は、オーダーメイド生産が多いため、お客様のニーズにも差がありクレームになりやすい。
そもそもクレーム(claim)とは、当然の権利として要求する、請求する、などの意味がある。実社会では苦情を指すことが多い。また、クレームは会社の中だけではなく、どこにでも起こる現象である。マイナスイメージの行為だが、企業にとって改善につながるケースも多く宝物に変わることも少なくない。

不満感情のしくみを理解する

例えば、過去に自分が経験した「怒り」の場面を思い出すとしよう。すると「怒り」の前に別の感情があったことに気がつく。怒りの感情は第二の感情と言われており、その前に以下のような感情がある。

・期待が叶わず残念だ
・恥をかかされた
・怖い思いをした

これらの思いが第一の感情であり、発展して「怒り」という第二の感情に変わる。
したがって、お客様に心から共感するには、第一の感情に対して共感することが重要だ。そのためには、対話の中で怒りの前の感情を読むことが重要である。そして、その感情に共感する。するとようやく「聞く姿勢」がとれるようになる。人はいつでも「分かってほしい」ものだ。

クレーム対応の5ステップ

1.お詫び
 → 不快にさせた事実に対して
2.傾聴
 → まずは聴く、反応する、教えてもらう
3.事実確認
 → 第一の感情を確認し共感する
4.解決策の提示
 → 了解を得たうえで解決策を提示する
5.クロージング
 → 声をあげてもらったことに感謝する

お詫びでは、不便・不愉快の事実に対して行うものであり、ポイントは「条件付きの謝罪」である。同調と共感を混同しないことだ。相手が不満に思っていることのみを対象とする(「そのお気持ち、わかります」共感である)。

傾聴では、まずは聴く、反応する、教えてもらうことだ。最大の目的は「第一の感情」の理解である。反応しながら聴き、分からない時は原因を「自分」にして、「教えてもらう」姿勢が重要である。

 事実確認では、第一の感情を理解したと感じたら共感することである。共感の際、相手の気持ちを「代弁」すると効果的だ(100回の謝罪より1つの共感する言葉が大切)。

 解決策の提示では、必ず了解を得たうえで解決策を提示する(このステップは時間がかかる)。

最後のクロージングでは、声をあげてもらったことに感謝する。クレーム対応の最後は、相手も「気まずく」なっていることが多い。「感謝」で終わることで、次につながりやすくなる。

生きていれば、クレームはつきものだ。クレームが発生しやすい印刷業界だからこそ、クレームを笑顔に変えるスキルを身に付けたいものである。ちなみに、JAGAT クレーム対応講座の先生は、クレーム対応術がすばらしい。身近でクレームが発生した際、「よし、事例が増えた」と考えるそうだ。

 (西部支社長 大沢 昭博)

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