「印刷産業経営動向調査」より–売り上げは業種・業態で明暗が分かれる

掲載日:2017年7月13日

印刷企業の経営動向については、全般的には売り上げの停滞が見られ、再成長に向けての踊り場にさしかかったようだ。JAGAT info7月号の特集では、2016年度印刷産業経営力調査の業績分析編を紹介している。

今回の調査では、業種・業態で見ると包装・特殊印刷が比較的好調で、商業印刷と総合印刷は微減で堅調、総合印刷と出版印刷が不振といえよう。包装・特殊印刷は5年連続で売上高が増加しているが、経常利益率は2%台である。一方、商業印刷は売上高が微減ながら経常利益率は2%台後半で、包装・特殊印刷よりは高く回復傾向にある。出版印刷は調査開始以降初めて経常利益率がマイナスとなった。雑誌市場が大きく減少し、比較的堅調といえる書籍でも初版のロットは小さくなっている出版市場自体の縮小の影響から脱し切れていないようだ。それでも売り上げ減少率は徐々に縮小しており、新事業開拓などによる受注が実を結びつつあるものと思われる。

地域別に東京と東京以外を比べると東京の経常利益率が東京以外を下回った。これは東京に多い出版印刷の不振が影響しているようだ。

人員関係を見ると、部門別人員構成では生産人員は変化がなく、近年増加傾向にあった営業人員の比率も落ち着いたようだ。一方で、従業員平均年齢は調査史上最高の43.0歳となった。65歳までの雇用延長が義務化されたうえに、少子化、企業業績改善などにより採用環境は売り手市場となっており、なかなか若年層の採用がしにくくなっていることも影響しているものと思われる。

このほかにも本号では、企業規模別、材料費、外注費など製造原価、販管費などさまざまな経営指標となる数字から印刷業の業績を分析している。9月に発行される『JAGAT 印刷産業経営動向調査2016』より一足先に概要を紹介している。

(JAGAT info編集担当)

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