「見える化」とダイエットの共通事項

掲載日:2017年11月13日

脂肪燃焼のための筋肉が程よくついた健康的な体、しかもリバウンドなし。「見える化」とダイエットは似ているところがある。

「『見える化』すれば、うちの社員がさぼってるのかどうか分かるんでしょう?」

たまに・・・見える化することが目的になっている方がいらっしゃいます。

ですが、見える化は目的ではなく、手段だと考えます。
「見える化」を行うことで社内コストを下げ、仕事の効率を上げ、その結果、利益を出す。
その利益を社員全員で分配する。

 

「見える化」をダイエットに例えるならば、

「脂肪燃焼のための筋肉が程よくついた健康的な体、しかもリバウンドなし」

な私になるために、日々の食事を記録し、摂取カロリー、消費カロリー、余剰カロリーをリアルタイムで把握し、目標値になるまであとどれくらいの運動をすればいいのか、考えることだ。

 

10月25日、「FileMakerカンファレンス2017」で印刷会社の見える化における取り組みが紹介された。
講師は、大東印刷工業(株)第二営業部企画営業課 中島章裕氏。

大東印刷工業は見える化先進企業として有名だ。
今から約20年前、紙の電子化から始まった。

・手書き伝票を何とかしてほしい
・過去の見積もりの検索機能が欲しい
・簡単に仕様変更をしたい

といった現場の声に応えるように、送り状、見積もり、仕様書、工程管理、日報などをデータ化した。

2003年、1点1点受注単位ごとの粗利益の見える化を実施し、収益の改善につながった。
これはもちろん、全社員が単品利益を意識した結果のほかならない。

内製化により加工率を最大化し、見える化による改善活動で社内コスト率を最小化すれば、利益は大きくなることが分かった。

2016年からは新工場の設立。人的稼働率を高め、多能工に取り組むことで、さらなる生産性の向上にチャレンジしている。

 

「見える化」ができていない会社は、社内コストが分からない、案件ごとの赤字を出しても気づかない、よって全体の数字が見えていても原因が分からず改善が進まないといった負のスパイラルが予想される。

できている企業には共通していることがある。
・「見える化」をやり遂げるという経営者の決意
経営者意識を持ったミドルマネージャーの存在
全員経営への地ならし(当事者意識を持って主体的に動く企業風土)

 

とはいえ、ミドルマネージャーも現場の社員も、目の前の仕事に日々追われ、見える化どころではない。

では、どうしたらいいのだろうか?
20年もの間、社員の旗振り役として「見える化」を実践し、成功に導いた中島氏によると、

・外部セミナーの活用
・自社以外の会社を見て、「自社の当たり前 他社の当たり前 その逆のこと」を意識すること

がミドルマネージャーの育成と全員経営の地ならしに役立ったという。

特に「見える化情報交換会」に入り、メンバー企業同士で改善活動、利益管理、人材育成を発表しあい、実際に見学に訪れることが、見える化推進の原動力になった。

「見える化」の実現には、システムを入れるだけではなく、経営者、マネージャー、全社員の意識を変えることこそ重要だ。

 

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JAGAT「見える化実践研究会」
短期間での「見える化」を実現します。やり切るサポート取り組む企業の相互交流と自己研鑚の場をつくります。