10月26日発刊の『印刷白書2017』の編集担当者に今回の白書の特徴を質問してみた。(シリーズ『印刷白書2017』)
もっとも、記事を書いているのも担当者なので自問自答の形となるが、これまで寄せられたご意見などを参考にした結果でもある。
Q1 印刷白書は以前は9月末に出ていて、毎年遅くなっているようですが、何か事情があるのですか。
A1 JAGAT大会の開催に合わせて発刊しているからですが、今回は『JAGAT50周年記念誌』とニ分冊としたことも理由の一つです。
Q2 記念誌とニ分冊ということはこれまでの白書とは発行形態が違うということですか。
A2 記念誌と白書の表紙は対になるデザインで、包装紙のイメージの函に2冊が入っています。JAGAT大会参加者と会員企業の代表者の方には、この2冊セットで提供していますが、『印刷白書2017』は今までどおり1冊で購入できます。
Q3 読まれる記念誌を目指したとのことですが、印刷白書はどうですか。白書というと資料として保存する価値はあるものの読み物ではないという印象を受けますが。
A3 印刷白書は2006年版から現在のような書籍の体裁となって、印刷関連の資料を網羅するようにしていますが、さらに2009年版から特集を設けて、資料と読み物を両立を狙っています。
Q4 今回の特集は何ですか?
A4 今回は「印刷産業の50年とイノベーション」をテーマとしています。50年誌と連動する意味もあって、50年間の印刷産業を取り巻く変化をまとめました。印刷白書創刊の1994年から2017年までのキーワードと印刷産業の概況・環境変化・課題の推移を一覧表にしたのも興味深いと思います。
Q5 印刷市場規模に関する問い合わせが多いそうですが、今回はどのような結果となりましたか?
A5 市場規模は工業統計の出荷額を利用しているのですが、今回は経済センサスが代わりになる年で、調査時期が12月から6月に半年ずれたので、発行が遅れそうでした。
Q6 もう少し詳しく教えてください。
A6 全産業を対象とする経済センサスの調査年には、経済センサスの産業別集計(製造業)が工業統計の代わりになります。印刷白書では毎年3月公表の「工業統計表 産業編」から、印刷・同関連業の出荷額、従業者数、事業所数などを利用して、図表などを作成しています。経済センサスの産業編は12月公表となり、概要版が9月末公表ということで、今回の白書に間に合わないのではとヒヤヒヤしたのです。
Q7 白書の発刊時期が後ろにずれたので間に合ったんですね。
A7 そうなんです。9月25日の公表までにその他の統計データで作成できる図表をまとめたり、概要版では4人以上のデータに限られることや、産業中分類「15印刷・同関連業」の数値はわかりますが、その内訳になる細分類の「151印刷業」「152製版業」「153製本業、印刷物加工業」「159印刷関連サービス業」まではわからないことから、前年版のデータを更新するだけではダメなので新しい切り口を考えました。
Q8 新しい切り口とはどんな点ですか?
A8 産業構造の項では、人口当たり印刷産業事業所ランキングや「工業統計表 品目編」(12月公表予定)からその他収入の推移などを見てきましたが、今回はその数値が出ないので、それに代わる図表として、工業統計を利用して、2004年からの10年間の推移と、その後の10年を仮に算出しています。
経済センサスと工業統計の違いなどについては、「数字で読み解く印刷産業」のコーナーでも取り上げましたので参考にしてください。
Q9 『JAGAT50周年記念誌』と並行作業になることから、印刷白書は先行して編集を始めたそうですが、その成果はありましたか。
A9 最後は経済センサスの公表を待つしかないので、その分早めに取り掛かって、できることから進めました。印刷白書では産業連関表も利用して、印刷産業の前年版では2011年基準で、2012年、2013年までの推移を見ていた部分を、今回は接続産業連関表を利用して、2000年、2005年も含めた推移を見ています。
また、貿易統計を過去にさかのぼって、「平成23年産業連関表-貿易統計コード対応表」と整合性が取れるものにしました。このことも「数字で読み解く印刷産業」のコーナーで取り上げました。
Q10 会員企業の代表者に毎年1冊献本されていますが、反響はいかがですか?
A10 まだお手元に届いたばかりかと思いますが、記念誌は両開きが面白いと言われています。白書に関しては「編集者の熱心さ、パワーが伝わってきます。早速実務で活用させていただきます」という言葉をいただいて恐縮しております。
11月27日に印刷白書発刊セミナーが予定されています。今回の白書の読みどころなどをお話できればと思っています。
(JAGAT 吉村マチ子)