働き方改革に取り組む印刷会社事例

掲載日:2017年11月16日

「働き方改革」が注目を集めており、さまざまな産業で取り組みが行われている。政府も「働き方改革」を推進しており、そのためにさまざまなバックアップを行っている。

今は、高度成長時代のように猛烈に働くことが賞賛される時代ではないし、労働環境に対する社会の目は厳しくなっている。例えば労働者に対する待遇や労働環境の悪さ、何かしらの労使トラブルなどは、インターネットの普及によって、あっという間に拡散されて企業のイメージや評判を落としてしまう。このような問題は対処を間違えることができない難しい時代になったと言える。

印刷業は紙の市場が減少する状況で、デジタルメディアへの対応や印刷付帯サービスの提供、ソリューションビジネスへの取り組みなど、印刷業のサービス化が進む中で「人」のウェートが高まりつつある。より優秀な人材を確保するうえでも、労働環境を見直して、社員が働きやすい職場づくりが欠かせないため「働き方改革」は他人事ではないはずだ。

実際に印刷会社が「働き方改革」に取り組む場合には、例えば労働時間短縮においては受注産業で、なおかつ一品ずつ仕様が異なるために計画生産がしにくい状況がハードルを上げている。加えて、中小企業となると人員に余裕のある企業は少ないために、根本的に経営方針や業務工程を見直して生産性を上げない限り、「働き方改革」に取り組むことがコストアップの要因になりかねない。

『JAGAT info 』11月号では、社員数約40人の印刷会社が取り組む「働き方改革」について、進め方と効果について紹介している。同社は社会保険労務士をコンサルタントにして、2年前から本格的に取り組んでいる。まずは社員にヒアリングを行って現状把握して、課題を明らかにしてから改革に手をつけた。

特に中小の印刷会社の場合は、「働き方改革」というと、いったい何からどう取り組めばよいのか迷ってしまい、労働時間短縮にだけ目が向いてしまいかねない。政府や自治体の制度や助成金には、「働き方改革」を助けるもの、「働き方改革」につながるものがあり、それらを活用すると一通りの「働き方改革」が実現できるという。実際に紹介する会社ではさまざま制度や助成金をうまく活用して効果を上げている。

同社の取り組みを見ていると分かるのは、「働き方改革」を行う目的は全社員の幸福のためであり、それは生産性を上げて会社が成長するためでもある。そのため同社の働き方改革の要が実は社員教育にあり、社員の成長を促す仕組みを作って、会社の成長にもつなげようとするものである。それゆえ、中小企業が「働き方改革」に取り組むことは直接あるいは間接的に経営の改革にもつながるということなのだ。

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