産業革命はワットの蒸気機関の発明に端を発するが、最初の産業革命を1 次とすると、現在のIoT等によるものを第4 次産業革命という。
大もとはドイツ政府が言い出したIndustrie4.0(英語表記だとIndustry4.0)である。印刷技術をリードしているドイツだから、Industrie4.0 にはPrint4.0 が続くので、印刷業界には特に注目されている。
それでは第1 次から第4 次産業革命まで簡単に復習する。
●第1 次産業革命(水蒸気革命)
18 世紀後半、イギリスで蒸気機関が発明され、工場制機械工業の幕開けとなった。これを第1 次産業革命と呼ぶ。
●第2 次産業革命(電気革命)
19 世紀後半、電気・石油を新たな動力源とする重工業中心の変革である。モーターやベルト・コンベヤーなど電気技術をフルに発揮して生産性を上げていたアメリカ型の大量生産(マス・プロダクツ)が、この時代である。
●第3 次産業革命(コンピューター革命)
20 世紀後半、コンピューター制御により生産工程が自動化された革命である。日本メーカーのエレクトロニクス製品や自動車産業の発展などが象徴的である。今は懐かし、ジャパンアズ No.1 の頃である。
●第 4 次産業革命
2010 年代後半、デジタル技術の進展と、あらゆるモノがインターネットにつながる IoT の発展により、コスト低減が進み、新たな経済発展や社会構造が変革される(としている)。これが「インダストリー4.0」である。
インダストリー4.0 の提唱企業の一社であるシーメンスは、ドイツ南部のアンベルク市にある工場を試験的に改造し、ここで外部からの見学者や報道関係者らに向けて、「インダストリー4.0 とは具体的にどういうものであるか?」をデモしている。
夢のような話だが、製造ラインを流れる半製品が「自分にどんな部品が足りないか?」を製造装置に知らせると、製造装置が足りない部品を見つけてきて、この半製品に組み込むのである。または、半製品が「自分はこれからどういう工程で、どのような作られ方をしなければならないか?」を製造装置に知らせると、装置がその指示どおりに最終製品を完成させる。これによって画一化された製品だけではなく、カスタム・メイド商品も大量生産(マス・カスタマイズ)できるようになるというのである。まさに製品や部品と製造装置(AI マシン)とが互いに会話して仕事を成し遂げる「スマートファクトリー」(= 考える工場)である。実現は2020年以降である。
最後にインダストリー4.0 で現実することを挙げる。
- IoT により、設備が人と協調して動くCPS(サイバーフィジカルシステム)が実現。(現代版モダンタイムスの危険性を予感?)
- 拡張現実AR を活用したオペレーター作業支援。
- ビッグデータやクラウドコンピューティングを活用した品質追跡管理および工程改善。
- 消費者に合わせたマス・カスタマイゼーション(これが最重要項目)。
が実現されるとしている。
(『JAGAT info』2017年10月号より抜粋)