販売促進を行う際に、パンフレット、DM、チラシ等の紙メディアや、Webサイト、SNS等のデジタルメディアを組み合わせた、「売れる仕組み」をつくることで販促効果は大きくなる。
■ターゲット顧客の購買フェーズとメディアの特長を理解する
紙とデジタルを、ただ組み合わせれば大きな販促効果が得られるわけではない。ターゲット顧客の特徴や購買フェーズ(未認知、認知、見込客、既存客、リピーター)に応じて、効果的なメディアが変わる。例えば、未認知客に対していきなり、DMやカタログを送付しても効果が少ないばかりか、未認知層は対象数も多いためコストがかさむ。それであれば、ネット広告やランディングページ(LP)から、体験イベントや資料請求へ誘導し、未認知から認知顧客へ育成する方法が有効である。認知段階に入れば小冊子やSNS、メルマガ等へ情報発信量を増やし、自社サービスへの理解を促すことで、見込み客や一見客へ昇華していく。リピーターへと育成する際は、パーソナライズされたDMや特殊加工を施したDM、参加者を限定したイベント等、「あなただけの」「特別な」を意識したプレミアム感を創出する。これらのように、ターゲット顧客の購買フェーズを把握した上で、メディア施策を企画提案できれば効果は自ずと高まる。
■ターゲット顧客に生じる6つの不安と解消
ターゲット顧客が購買フェーズに応じて発生する心理的な不安を解消する必要がある。例えば、認知客が資料請求のフェーズに移行する際に不安に思うことは、問い合わせする会社は怪しくないか。個人情報を不正利用されるのではないか。といったことである。見込み客が購入する手前のフェーズに移行する際は、サービスの効果は本当なのか。体への害はないのか。購入料金は明瞭に記載されているのか。多様なオプション料金は発生しないのか。など、様々な心理的不安が生じ購入に至らないケースも多い。そこで、メディアを通してそれらを解消するためには、事前に不安要素を想定する必要がある。小澤氏は、主な心理的不安として「時間的な不安」「金銭的な不安」「効果への不安」「身体的な不安」「利便性の不安」「業界への不安」の6カテゴリーをあげ、これらに当てはめて不安要素を洗い出し、解消できるメディアとコンテンツを用意すれば購買率は高まると解説する。
ターゲット顧客がサービス購入に至るまでの心情を理解した上で、購買フェーズに応じた、適切なコンテンツ開発と訴求効果の高いメディアの提案を行うことが重要だ。結果として、販促計画の支援から、制作、製造まで請負える可能性が高まり、自社のトータル受注額は高まる。顧客も販促効果が高まる上に、発注先が一本化すれば間接コストも削減できるため効率的だ。印刷会社はこうした提案ができるポジションにいる。
CS部 塚本直樹