「工業統計表 産業編」に該当する「平成28年経済センサス‐活動調査 製造業(産業編)」が12月25日に公表された。全事業所の印刷産業出荷額は1.4%減となった。(数字で読み解く印刷産業2017その10)
JAGAT刊『印刷白書』では、印刷産業の動向把握に必要な公表データを網羅し、わかりやすい図表にまとめています。
印刷市場を把握する上で最も重要な統計データが工業統計になります。工業統計と経済センサスの関係については、「工業統計と経済センサスはどう違うの?」でも紹介しましたが、今回は12月25日に公表されたばかりの総務省・経済産業省「平成28年経済センサス‐活動調査 製造業(産業編)」から印刷産業の市場規模を見てみましょう。
「経済センサス‐活動調査」は全産業・全事業所を対象とした大規模調査で今回が2回目の実施です。経済センサスの年には工業統計調査は中止となり、工業統計との時系列比較のために、①管理、補助的経済活動のみを行う事業所ではないこと、②製造品目別に出荷額が得られた事業所であること、の2点に該当する製造事業所について集計しています。
印刷産業(全事業所)の2015年の出荷額は5兆4582億円(前年比1.4%減)となりました。2016年6月1日現在の調査のため、事業所数・従業者数は2015年を飛ばして2016年の数値となり、事業所数は2014年比14.3%減、従業者数は同4.6%減となりました。
下の表で2011年、2015年、2016年(アンダーラインが引かれている調査年)は経済センサスによる数値です。前回の経済センサスによる2011年の数値が工業統計との比較で大きく違いが出たことから、今回も前回調査と単純に比較することはできないかもしれません。
これまで毎年12月31日現在で実施されてきた「工業統計調査」は、調査年の翌年9月(9カ月後)に速報、翌々年1月(13カ月後)に概要版、同3月(15カ月後)に産業編・品目編などが公表されてきました。
しかし、実施時期が半年後ろにずれた今回の「経済センサス‐活動調査」は調査年の翌年5月31日(12カ月後)に速報、9月25日(16カ月後)に概要版が公表され、産業編は調査時期から19カ月後の12月公表となりました。
JAGATが毎年10月に発行している『印刷白書』では、前年3月公表の確報値を最新データとして利用してきましたが、2017年版では9月公表の概要版(従業者4人以上の事業所に関する統計表)を利用しています。
なお、今年6月1日に実施された「平成29年工業統計調査」(2016年出荷額)の結果は、2018年2月頃に速報公表が予定されています。調査時期から9カ月後の公表予定ということで、これまでの工業統計のスケジュールに戻ったことから、8月頃には産業編・品目編などが公表されることが期待されます。
そこで、次回の『印刷白書』では2016年の市場規模に関して全事業所のデータを利用することができるものと思われます。
『印刷白書2017』では印刷メディア産業に関連するデータを網羅し、わかりやすい図表にして分析しています。また、限られた誌面で伝えきれないことや、今後の大きな変更点は「数字で読み解く印刷産業」で順次発信しています。
(JAGAT 吉村マチ子)