新年のご挨拶

掲載日:2018年1月1日

新年明けましておめでとうございます。

昨年の世界経済を振り返ってみると、一昨年11月の大統領戦にてトランプ政権が発足した米国が種々の摩擦を国内で起こしながらも経済は順調な進展を見せ、世界的にも底堅い成長をみせました。

日本経済は為替が110円台で安定し、輸出企業を中心にリーマンショック後初めて最高益を更新する企業が多数出現し、株価も2万3000円に届く場面もありました。しかし政治状況では、北朝鮮の問題は予見不能の状態であります。

当協会は昨年、おかげさまで創立50周年を迎えることができました。半世紀にも及ぶ長い間に印刷産業の経営環境は大きく変わり、10月のJAGAT大会でお話したとおり、前半の25年間は世の中の需要の成長に供給力がいかに追いつくのかが課題で生産技術が効率化、デジタル化していく時代でした。印刷機のオペレーター育成やMacによるDTP研修など協会の果たすべき役割も理解しやすいことが多かったと思います。後半の25年は、バブル崩壊後の“失われた10年”を経て、やがて21世紀となり、リーマンショック後の不況、デジタルメディアの急速な浸透(昨年はiPhone誕生から10年という年でした)に直面することになりました。

先進的な企業では時代の節目で自らの存在意義を問い直し、事業の廃棄や創造を繰り返してきたはずです。

大会前には日本フォーム印刷工業連合会主催のDMAの年次大会のツアーに参加しましたが、セミナーではdata & marketingの名称が示すようにカスタマージャーニーをとらえるデジタルマーケティングの議論が主流でした。しかしながら一方で、モバイルとプリントのコンビネーションでより効果が高まる最適な事例の紹介などもありました。現代ではコミュニケーションの一つのメディアである印刷は他のメディアと一緒に使用されて効果のある状況をいつも想定する必要があります。

さて、今年のpage展のテーマは「アライアンス Next」です。大手企業は経営資源が豊富で専門知識を持った人材も少くなくBPOサービスも多岐に展開されているのですが、中小企業は経営資源、特に人材には限りがあり、自社のリソースだけでは急速に変化する現代のニーズに応えられなくなってきました。ビジネスにおいて負けても良いと思う人はいないわけで、お互いに勝ちたいと思う同志の親和力があって生まれるビジネス関係がこれからは大切になるのではないでしょうか。それには人材の教育と同時に経営者の決断も必要です。

今年も各社の皆様のそうした努力が報われ、良い一年となりますようお祈り申し上げます。

公益社団法人 日本印刷技術協会
会長 塚田 司郎