PDFの可能性と印刷工程での基本知識の重要性

掲載日:2018年1月23日

PDFは、Portable Document Format(ポータブル・ドキュメント・フォーマット)の頭文字を取ったものだ。一般的にも情報の配布・交換・蓄積を電子的に行なうために用いられる。印刷業務で使おうとすると、基本的な知識が必要になる。

そもそも、PDFは印刷のための技術であるページ記述言語PostScript(ポストスクリプト)をベースとして開発されたものだ。PostScriptは、制作者がレイアウト済みの印刷用データを出力するためのものだ。加えて、PDFは、印刷物と同じ高品質な情報を持つと同時に、情報交換の用途のためのリンク、しおり、注釈やフォームなどの様々な機能が追加できる。PDF作成は、一般のユーザーもワープロや表計算ソフトで作成した文書を手軽にPDFにして、Webページや電子メールで受け渡しができる。 ちなみに、HTML は、Webページを作成する言語であるHTML(ハイパーテキストマークアップランゲージ(Hyper Text Markup Language)の略)でる。コンピュータの画面上に情報を表示しながら、分散した情報の迅速なナビゲートに強みがある。閲覧のモニターの、大きさや縦横比、解像度などの様々に対応する。HTMLだけではレイアウトの再現性はない。ページを印刷しようとするとレイアウト再現ができないことがある。HTMLとPDFは全く異なっており、統合するか、使い分けるかが、電子的な情報交換における課題でもある。

PDFの効用は、紙を使う情報交換を上回る
PDFを使うと、従来、紙を使って行っていた情報の伝達・管理を電子ファイルへ置き換えられる。コスト削減、検索の効率化、情報交換に要する時間の節約など大きな効果が見込まれる。PDFデータは、現在、印刷工程において大きなポジションを占めている。主な用途を5つに分類すると下記に分けられる。

1)入稿データ

2)校正データ

3)出力データ

4)納品データ

5)配信データ

使うメリットは?
1)PC環境を選ばない Wordなどoffice系、InDesignなどのDTPアプリケーションで作成されたコンテンツもPDFならソフトウェアの種類やバージョンを気にせずやりとりができる。

2)ファイルサイズが小さい PDFに変換時に、複数のデータが統合され、更に圧縮されるのでファイルサイズが小さくなる。特にページ数の多い印刷物は、データ送信時間の短縮などの効果を発揮する。

3)画像・フォントが埋め込まれる 画像が抜け、文字化け!がない。デザインコンテンツの崩れが減少する。

PDF/Xについて
印刷用途向けPDF規格「PDF/X」は、Portable Document Format eXchangeの略で、仕様は、Adobeが決めているのではなく、国際標準規格であるISO 15930により規定されている。印刷工程での運用を正しく理解することだ。今回のpage2018セミナーでは、「PDF入稿だけではない『業務で使う』PDF」尾花暁講師にて開催する。PDF入稿が普及する中、入稿時のデータ確認が気になる。今回は、入稿時のポイントをはじめ、PDFでの校正や閲覧、印刷用PDFからWeb用データの出力等もカバーし、PDFの運用よる更なるワークフローの改善や効率化を目指すものだ。紙媒体である印刷物製作おいて、紙での顧客とのコミュニケーション接点を極力無くし、オーディエンスへの閲覧での付加価値をつけるPDF運用を考える機会にしたい。

<関連講座>
【S3】PDF入稿だけではない「業務で使う」PDF

     開催日:2月7日(水)15:45~17:45

( CS部 古谷 芸文)

 

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