伝えたいことは、図で表してみよう

掲載日:2018年2月1日

情報を視覚的に表現するインフォグラフィックスは、社会と生活のあらゆる場面に役立っている。その習得は一朝一夕にできるものではないが、絵の上手さは絶対条件ではなく、もっと大切なことがある。

古今東西のインフォグラフックス

インフォグラフィックスの歴史は、人類が文字を獲得する以前から始まっていた。
ショーヴェ、アルタミラ、ラスコーなどの洞窟に残された生き生きとした壁画がよく知られている。

ショーヴェ洞窟のハイエナの壁画
20,000 Year Old Cave Paintings Hyena(ショーヴェ洞窟のハイエナの壁画)(https://commons.wikimedia.org)

文字文化が生まれてからも、情報伝達の手段として図は重要な位置を占めてきた。

ウィリアム・プレイフェアによる棒グラフ
近代的グラフの発明者と呼ばれるウィリアム・プレイフェアによる棒グラフ
Chart Showing at One View the Price of the Quarter of Wheat, and Wages of Labour by the Week, from 1565 to 1821
(https://commons.wikimedia.org)

『雪華図説』
江戸時代の雪の結晶の観察書『雪華図説』土井利位著(https://commons.wikimedia.org)

現在は、社会や生活のあらゆる場面でインフォグラフィックスが活躍している。

日経ビジュアルデータ
ニュースコンテンツ 「日経ビジュアルデータ」[株式会社日本経済新聞社 (東京都) ]

2017年度グッドデザイン賞でグッドデザイン金賞を受賞

JAGATが発行する媒体にもインフォグラフィックスが使われている。

デジタルハンドブック図版
JAGAT発行『デジタルハンドブック いま知りたい30のキーワードと10の事例』より

図に描いて考えること、図に描いて伝えることの重要性

図で示すことは、デザイナーの仕事に限定されたものではない。 顧客へのプレゼンテーション、イベント会場での誘導のサイン、社内の工程管理、情報共有。あらゆる場面で必要になる。

会議やワークショップなどの場では「グラフィック・ファシリテーション」という手法が導入されている。議論の内容を図を使って可視化するものであり、物事を直感的につかむことでメンバーそれぞれの頭の中にあることが共有される、議論の流れを整理できる、新しいアイデアが出やすくなるなどのメリットがある。 その他「グラフィック・レコーディング」「スケッチノーティング」などの手法もあり、図を描きながら考えることの重要性が、ビジネスの場で理解されるようになってきている。

とはいえ、「自分は絵が苦手」と思っている人も少なくないだろう。 絵は上手く描けるに越したことはないけれど、そうした技能よりも大切なことがある。 溢れる情報の中から、最も伝えたい要素をつかみとること、伝える相手の視点に立って、どうしたら分かりやすく見えるかを考えること、何よりも「これを伝えたい!」という熱意を持つことだ。

page2018のワークショップ「インフォグラフィックスの基礎と活用法」では、インフォグラフィックスの第一人者、木村博之氏を講師に招き、コンセプトの作り方、情報の選び方、見せ方について、座学とグループワークで学ぶ。

ワークショップのテーマは当日のお楽しみであるが、セッションの大まかな流れを説明する。

座学 インフォグラフィックスの基礎
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ワークショップの説明、テーマの提示
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個人ワーク(練る)
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グループワーク(集約→作成)
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グループワーク(プレゼンテーション)
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ワークショップの振り返り〜総括

セッションのイメージ(ワークショップスケジュールより筆者作成
ワークショップイメージ

2時間でこなすにはタイトな内容ではあるが、思考をぎゅっと凝縮させたひと時となるだろう。 「上手く描く」「完璧にこなす」ではなく、このひと時から、伝えることについて何らかの気づきを得ていただきたい。

多数のご参加をお待ちしています。

(JAGAT 研究調査部 石島 暁子)

page2018 ワークショップ(終了)

インフォグラフィックスの基礎と活用法
 *上記のリンクに誤りがありましたので修正いたしました。(2/1 17:53)
2018年2月8日(木) 15:45〜17:45
池袋サンシャイン ワールドインポートマート5F
講師:木村博之氏(チューブグラフィックス 代表取締役)

情報を分かりやすい図で伝えるデザイン手法―インフォグラフィックス・ワークショップ

2018年6月22日(金) 13:30-17:30
講師:講師:木村博之氏(チューブグラフィックス 代表取締役)