オンライン・オフライン行動データの利用で、販促支援は大きく変わる

掲載日:2018年2月15日

企業と生活者接点の多様化が進んでいる中で、位置情報を活用したコミュニケーション戦略に注目が集まっている。

総広告費は5年連続増も折込広告費は減少

2016年の日本の総広告費は前年比1.9%増の6兆2880億円で、5年連続のプラスとなった(電通『2016年日本の広告費』)。しかし、折込広告は「前年に引き続き、新聞の部数減に加え、折込枚数と用紙サイズの縮小に伴って減少」し、前年比5.1%減となった。

2017年の新聞発行部数は前年比2.7%減で、2004年から14年連続で減少している(日本新聞協会「新聞の発行部数と世帯数の推移」)。折込広告の2017年のデータはまだ公表されていないが、おそらく大きな変化はないと思われる。

若年層を中心に新聞を読まない人が増えている状況において、どうやってチラシなどを届けることができるのか。新聞以外の媒体を使って、折込広告を行うためにはどのようなことができるのだろうか。いずれにしても広告手法としては、生活者の行動パターンとメディア接点を見出していくことが不可欠になる。

生活シーンに合った広告配信

印刷会社が流通小売業の販促支援をする場合、チラシやカタログ、DMなどが提案される。しかし、紙メディアだけでは限界があり、デジタルとマーケティングをかけ合わせる必要が出てきている。

そこでアドテクノロジーや商圏分析手法が考えられる。デジタルマーケティングが従来のマーケティングと異なるのは、測定可能でインタラクティブ(双方向)であることだ。また複数のチャネルによってリーチでき、かつリアルタイムで有効性を分析できる。

顧客がチラシを発注するのは、例えば店舗への集客のためだ。そうなると地域特性やターゲットの属性に合わせて最適な情報を最適なタイミングでプッシュしたい。位置情報と行動履歴を使ったスマホによるプッシュ配信なら、新聞を読まない若い世代にもチラシを届けることが可能だ。

特にイベント集客や来店促進などの場合、紙のチラシの商圏との補完が可能になる。ターゲットの移動情報に連動して現在地から最も近い店舗の情報を配信したり、クーポンをリアルタイムで提供したりとプロモーションにも有効利用できる。

ビッグデータの蓄積が進んで、ビジネスに展開する企業が増えている。行動データと購買データを紐づけてターゲットの行動を推定するOne to Oneのマーケティングが重視されている。

これまでもWebの閲覧履歴などから情報を探り、ターゲットユーザー像のイメージを固定化することはできた。さらにスマホにより多くの情報を入手しやすくなっている。住所・勤務地など従来の顧客データだけでなく「いつ、どこで、何をしている」といったリアルな行動も把握できるようになった。それらに関連づけたユーザー情報を利用することで、リアルタイムシチュエーションの推測が可能になる。デジタルチラシなどは、印刷会社にとっても親和性の高いメディアであるといえるだろう。

(JAGAT 研究調査部 上野寿)

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