2017年度東京ビジネスデザインアワード最優秀賞・優秀賞を発表

掲載日:2018年2月16日

最優秀賞は、「ユーザーが生地をカスタマイズできるパターンシート」の提案

東京都が主催し、公益財団法人日本デザイン振興会(会長:川上元美)が企画・運営をおこなう「東京ビジネスデザインアワード」は、東京都内のものづくり中小企業とデザイナーの恊働による新ビジネス創出を目的としたマッチング事業です。
去る2月7日(水)に東京ミッドタウンで開催した提案最終審査において、各企業から提出されたテーマに対する提案が認められテーマ賞を獲得した8組のデザイナーによる公開プレゼンテーションと審査を実施しました。
最優秀賞には榊原美歩(プランナー/株式会社GoodTheWhat)の「ユーザーが生地をカスタマイズできるパターンシート」、優秀賞には松岡湧紀、青井正仁、榛葉幸哉、西畠勇氣(クリエーティブチーム/電通アイソバー株式会社)の「プログラミング思考×パズル。未来を広げる知育玩具。」、榎本大輔、横山織恵(デザイナー/hitoe)の「新しい機能性を持たせた『光る発泡スチロール』」が選ばれました。
これら3件を含めたテーマ賞の各デザイン提案については、テーマ企業とデザイナーの間で提案の事業化・製品化に向けた検討が始まっています。今後の展開をご注目ください。

 

「2017年度東京ビジネスデザインアワード最終審査結果」

 

●最優秀賞(1件)[賞金100万円]

提案名 「ユーザーが生地をカスタマイズできるパターンシート」
提案者 榊原美歩(プランナー)/株式会社GoodTheWhat
テーマ  あらゆる生地素材にアイロン無しで貼れる「特殊転写技術」
内  容 あらゆる生地素材にアイロン無しで貼れる転写技術による、
      ユーザーが気軽にDIYやリメイクに活用できるツールとしてのブランド提案。
企  業 株式会社扶桑(葛飾区)

 

●優秀賞(2件)[賞金各20万円]

提案名  「プログラミング思考×パズル。未来を広げる知育玩具。」
提案者 岡湧紀、青井正仁、榛葉幸哉、西畠勇氣(クリエーティブチーム)/電通アイソバー株式会社
テーマ  高品質・高技術の純国産「ジグソーパズル製造技術」
内  容  ジグソーパズルでプログラミングの基礎を学びながら親子で楽しむコミュニケーションに着目し
        た知育玩具の提案。
企  業 株式会社やのまん(台東区)

 

 

提案名  「新しい機能性を持たせた『光る発泡スチロール』」
提案者 榎本大輔、横山織恵(デザイナー)/hitoe
テーマ 98%の空気でつくる機能性エコ素材「発泡スチロール成形技術」
内  容 製品製造段階のアプローチから考え、発泡スチロールのさらなる活躍の場、
       既存特性をさらに活かした製品・ビジネスデザインの提案。
企  業 株式会社石山(墨田区)

 


●東京ビジネスデザインアワード審査委員長廣田尚子提案最終審査総評
本アワードが「ビジネスデザインアワード」を名乗る背景は、デザインや商品開発のあるべき姿として「良い技術」「良いモノ」「良いビジネス」の3つの要素が揃って初めて、企業が成長すると考えているからです。今回の最優秀賞と優秀賞を受賞した3社の提案は、その3つの要素が完璧に揃っていました。
最優秀賞の「ユーザーが生地をカスタマイズできるパターンシート」は、企業の持つ非常に高い転写技術を生かし、ユーザー側にもクリエイションが生まれる点が今のDIYの時代にぴったりで、約1ヶ月のマッチング期間に試作品製作やワークショップを行うなど実働性があった点も評価ポイントとなりました。
優秀賞の「プログラミング思考×パズル。未来を広げる知育玩具。」は、本来ジグソーパズルが持っている『はめ込む』という特徴と、プログラミングとの類似性を見出し『行為』そのものをデザインした点や、『本』という安定した販路があり誰もが身近に感じられるプロダクトとしてデザインした点などが高く評価されました。
「新しい機能性を持たせた『光る発泡スチロール』」は、活用シーンが多岐にわたり広がりが想定できること、企業が今回ビーズ(発光資材)までも自社で約1ヶ月半の短期間で開発し、企業の持つ技術の幅を広げたこと、それにより新商品の特許の流出を防ぐ形での画期的なビジネスデザインが実現したことが高く評価されました。
今回の結果を通じて、東京都の企業の底力と発信力の高さを感じました。いずれの提案も独自性が高く、今までに世の中になかった新しいものだと言えます。ぜひ企業とクリエイターでその想いを分かち合って、実現に向けた歩みを進めて欲しいと考えています。

 

●2017年度東京ビジネスデザインアワード審査委員会
廣田尚子 審査委員長/(有)ヒロタデザインスタジオ代表
金谷勉 (有)セメントプロデュースデザイン代表取締役
川田誠一 産業技術大学院大学学長 工学博士
澤田且成 アイディーテンジャパン(株)代表取締役社長
服部滋樹 デコラティブモードナンバースリー代表取締役
日髙一樹 デザイン・知的財産権戦略コンサルタント 日高国際特許事務所所長弁理士

 

~ 受賞コメント ~

●最優秀賞
「ユーザーが生地をカスタマイズできるパターンシート」
 プランナー榊原美歩氏
あらゆる生地素材にアイロン無しで貼れる転写技術を用いたパターンシートは、誰もが気軽にカスタマイズできて、様々なシーンで活用できます。ぜひ商品化し、既存のアイロンシートに代わる新しいプロダクトに成長させていきたいと考えています。マッチング開始から1ヶ月半はスピード感を持ちつつ、楽しみながら企業である扶桑様と形にしていきました。賞に捉われず、提案を現実の形にすることにこだわり進めてきたので、これを機にぜひ開発に弾みをつけていきたいです。

 

●優秀賞
「プログラミング思考×パズル。未来を広げる知育玩具。」
 クリエーティブチーム松岡湧紀氏
プログラミングというと難しいというイメージがありますが、提案した知育玩具では、ジグソーパズルでプログラミングの基礎を学びながら親子で楽しむコミュニケーションを行うことで、その先入観をなくし、これからの時代に求められるプログラミング思考を自然と身につけることができます。2020年に小学校教育にプログラミングが導入されますが、その前年の2019年の商品化を目指して行きたいと考えています。

 

●優秀賞
「新しい機能性を持たせた『光る発泡スチロール』」
 デザイナー榎本大輔氏
原料への添加が可能な発泡スチロールの特徴を活かし、素材からデザインをプランニングして『光る発泡スチロール』を提案しました。企業である石山様には、マッチング開始から1ヶ月半の間に発光資材を自社で開発いただくなど、チャレンジングな取り組みを行っていただきました。東京ビジネスデザインアワードは、毎年テーマと課題が変わり、提案内容も変化します。企業様とよく相談し、課題を共有する中で、実現化に向けて一緒に動いていきたいです。

 

 

※東京ビジネスデザインアワードのウェブサイトにて詳細情報を掲載しております。https://www.tokyo-design.ne.jp/award.html