「情報通信業基本調査」(2016年度実績)によれば、情報通信業の売上高は50兆7,425億円で最高値を更新。個別業種ではウェブコンテンツ配信業と情報処理サービス業が5年連続の増加となった。(数字で読み解く印刷産業2018その3)
「情報通信業基本調査」の第8回調査結果(2016年度実績)が3月27日に公表されました。日本標準産業分類の「大分類G情報通信業」を営む企業を対象とした標本調査で、2011年(2010年度実績)に最初の調査が行われています。
調査報告書では、より多面的に考察するために、アクティビティベースと主業格付けベースの両面でまとめています。
アクティビティベースとは、企業の営む活動内容(アクティビティ)に着目したもので、複数業種を併営している場合は、それぞれの業種に企業全体の数値が計上されるので、各業種の合計は「全体」の数値と一致しません。主業格付けベースでは、1企業が複数の事業を行っている場合は、売上高が最も大きな事業でその企業の業種を格付けし企業全体の売上高を集計しています。
2016年度実績をアクティビティベースで見ると、情報通信業を営む企業(主業か否かを問わず少しでも情報通信業を営んでいる企業)の数は5,519社、事業所数は2万5,913事業所、従業者数は164万2,072人、情報通信業に関わる売上高は48兆99億円(全社の売上高は71兆9,756億円)となりました。
主業格付けベースで見ると、情報通信企業(情報通信事業の売上高が他の事業よりも大きい企業)の数は4,723社(前年度比0.8%増)、事業所数は1万7,541事業所(同3.3%減)、常時従業者数は125万2,046人(同2.1%増)となりました。
情報通信企業の売上高は50兆7,425億円(前年度比1.0%増)で、調査開始以来、最高値を更新しました。そのうち情報通信業に関する売上高(情報通信業売上高)は46兆4,014億円(同0.4%減)となりました。
1企業当たり売上高の推移を見ると、インターネット附随サービス業は4年連続の増加、情報サービス業は前年が過去最高水準だったため減少となったが、高水準で推移しています。
情報通信業基本調査の売上高(2016年度)
出典:「平成29年情報通信業基本調査(平成28年度実績)」プレスリリース
アクティビティベースと主業格付けベースの考え方は、工業統計調査の「品目編」と「産業編」の関係と似ています。「品目編」は、「大分類E製造業」に属する事業所について、それぞれの事業所の製造品と加工品を品目別に集計したもので、「産業編」は、主たる製造活動によって産業格付けし、産業別に集計したものです。一方、「産業連関表」は、生産活動(アクティビティ)単位の分類となっています。
情報通信業は印刷産業にとって主要な販売先となる産業で、特に映像・音声・文字情報制作業(出版業、新聞業など)、情報サービス業(情報処理・提供サービス業、ソフトウェア業など)との関わりが強くなっています。
映像・音声・文字情報制作業の企業数は734社、売上高は2兆9,686億円(前年度比5.1%増)、1企業当たり売上高は40.4億円(同0.2%減)でした。
『印刷白書2017』では印刷メディア産業に関連するデータを網羅し、わかりやすい図表にして分析しています。また、限られた誌面で伝えきれないことや、今後の大きな変更点は「数字で読み解く印刷産業」で順次発信しています。
(JAGAT 吉村マチ子)