印刷市場は長期低落傾向にあるが、直近3年ほどのデータを見ると、その下げ幅も小さくなっている。景気回復が言われるが、市場縮小が止まったわけではなく、印刷会社の経営者にとっては景気回復の実感などはあまりないのではないだろうか。
景気の回復が見られる中で印刷市場が縮小しているということは、印刷物の利用から他のメディア利用へのスイッチが起こっていることが容易に想像できる。上場印刷企業の2017年第2四半期の数字を見ると、印刷事業の苦戦が見られる。
会社経営は市場が縮小しているから、景気が悪いからといって、立ち止ったままでいるわけにはいかないので、縮小する印刷市場を補うような商材やビジネスを創っていかないとならない。では、どのようにして明日のビジネスを創っていくのかとなるがわけだが、まずは今日のビジネスの足元をしっかりと見る必要があるだろう（現状把握）。市場環境を分析し、自社の立ち位置を確認し、ターゲットを定め、きちんとした戦略のもとにビジネスを創っていく。
JAGATifno4月号の特集では毎年恒例となっている前年の印刷市場を振り返っている。今回も2017年の印刷市場を印刷メディア面や広告市場などふんだんなデータをもとに多面的な視点で振り返りつつ、市場を展望する上で10のポイントを挙げて2018年の印刷ビジネス市場を予測している。
当たり前のことなのだが、未来は不確定である。その未来を少しでも正確に知ろうと思えば、より多くのさまざまなデータや知見を参考にして判断していくことが必要になる。同様にビジネスを成功に導くためには、その経営判断を裏付けるさまざまデータと知見が役立つはずである。印刷ビジネスを取り巻く環境は変化のスピードを増しているだけに、判断を誤らないように経営戦略を練り、戦術に落とし込む上でのヒントにしてほしい。