損益分岐点と稼働率にみる印刷工場の改善活動

掲載日:2018年4月13日

財務感覚を持った工場リーダーの必要性

印刷会社の工場の改善活動は、日々の業務が忙しくて先延でいつまでも課題が改善できない悪循環が続くことがある。推進するリーダー不在によることがほとんどだ。現場の改善活動においては、リーダーの果たすべき役割が非常に大きい。そのリーダーは、経営戦略や財務を理解し、工場改善を推進する必要がある。何故ならば、財務視点で見ると、営業活動の重要な指標が売上げだならば、工場の業績は利益になる。生産効率を上げれば利益がついてくる。

■損益分岐点にみる工場の稼働
刷営業において、見積り勝負、価格競争の場面は多々ある。受注の判断基準が利益率に掛かってくる。工場では利益創出についてはどう考えるべきであろうか。例えば、営業視点での利益率が低い受注案件についての受け入れ判断だ。答えは、「機械が開いていれば受け入れる」が概ね正しいと思われる。管理会計上での「損益分岐点」が判断基軸となる。工場の利益管理は、変動費よりも固定費に掛かってくる。損益分岐点は、利益率が低くても受注量を増やせば利益が見込める。受注量が多く、機械の枠が埋まっていれば、固定費を下げることによって利益が上がる。更に、固定費を下げて機械の稼働効率を上げれば工場の生産能力が高まり、営業的な売上げUPの機会も増えることになる。
工場管理者が財務戦略や管理会計を理解することは改善活動の武器になる。なぜならば、効率化を図るための根拠と価値が見えてくるからだ。つまり「見える化」だ。

■工場リーダーが意識する損益分岐点
会計上、固定費の主な科目は人件費や減価償却費だ。仕事量で変動しない科目だ。効率化を図れば利益が上がる。改善活動は、利益を上げる活動だ。例えば、5S活動は、身の回りの整理、整頓を通じて、仕事のバラツキをなくして、品質と生産性を高めるために有効な手法で益に直結する。だから、工場でのリーダーが財務を理解し、損益分岐点を意識するは工場改善の指標にも繋がる。

JAGAT主催の工場マネージャー養成講座では、

工場改善の成功事例のほとんどは簡単には行かない。JAGAT主催の場マネージャー養成講座の受講者アンケートの中に、『「まねるのではなく、自社流に考える」この言葉が非常に強く印象に残っています。成功事例は、自社流・自分流にアレンジしていくことの大切さを改めて感じました。』とあった。改善活動は、改善策を構想し、時間と忍耐力で組織をまとめやり抜く力が必要なのだ。その原動力は、リーダーシップがカギを握っている。
JAGATの2018年度、第4期工場マネージャー養成講座でも経営戦略における工場改善活動への教育プログラムは、重要性を増すと考えられる。

( CS部 古谷 芸文)

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【工場マネージャー養成講座第4期】