印刷技術の定番図書をブラッシュアップ

掲載日:2018年5月1日

JAGATでは毎年、多くの出版物や報告書・レポート類を発刊するとともに、定番図書では技術変化などを反映した加筆修正を行っている。

昨年創立50周年を迎えたJAGATには、息の長い出版物がある。『オフセット印刷技術 作業手順と知識』は、page2018期間中に放送された日本テレビ系連続ドラマ「anone」第5話の中で、印刷技術に関心を抱いた持本舵(阿部サダヲ)が手に取っている。
印刷技術の基本がわかる書籍として選ばれたわけだが、初版発行は2005年、現在の増補改訂版となったのが2009年で、本書の前身である『平版印刷技術』までさかのぼると、1977年と40年も前のことになる。
Japan Color標準印刷認証の推奨図書にもなっている本書は、専門学校の教科書やJAGAT通信教育のテキストにもなっていて、印刷技術の定番図書として継続して発刊していく必要性を感じている。もちろん、増刷にあたっては前回からの技術変化や、各種認定基準の改定などを反映する必要がある。

JAGAT書籍の用字用語は刊行時期によって違っている。例えば、『印刷白書』と『オフセット印刷技術 作業手順と知識』では、コンピューターやプリンターなどの、語尾の音引きの有無が違う。
「規格票の様式及び作成方法(JIS Z 8301)」には、外来語表記の原則として「2音の用語は長音符号を付け、3音以上の用語の場合は長音符号を省く」とある。この原則が特に守られたのが横書きの理系書籍やパソコン雑誌などで、「,。」で音引きなしのカタカナ語が席巻することとなった。
初期のDTP組版では、日本語の句読点を「,.」として、音引きなしで禁則ルールを無視したレイアウトも少なくなかった。しかし、デザイナーやエレベーターなど、既に日本語として定着している言葉の音引きまで取るなど、行き過ぎの感はあった。
これに対して、新聞では縦書きだからか音引きを守り、マイクロソフトが表記ルールを変更した2008年前後から長音を付けた表記が標準になりつつある。

JAGATでも現在は横書きでも「、。」にして、音引きをつけるのが標準になっている。しかし、2005年刊行の『オフセット印刷技術 作業手順と知識』の音引きはJISに準拠しているので、「オペレータ」は「センサ」や「ブレーカ」を確認したり、「メーカ」に相談したりしている。

2015年の増補改訂版第4刷では、第Ⅱ編の「第2章 印刷インキ」「第4章 湿し水」「第10章 カラー印刷の品質基準と管理」「第11章 印刷基準のCMS」を中心に加筆修正を行った。
現在第5刷に向けて校正を進めているところで、定番図書としての使命を果たしていけるようにブラッシュアップしたいと思っている。

(JAGAT 吉村マチ子)