印刷業を取巻く厳しい環境の中で、印刷機が利益を確保するためには現場管理者が一定の根拠に基づいた目標値を設定することが重要だ。そのためには毎日の収支を開示し、オペレーターの原価意識を徹底させながら現場改善する必要がある。
収支日報から見えるもの
日報は一日の処理件数を時系列で羅列するだけで、記入するほうも単なるルーティンワークとなりがちで、それをチェックする側も同様である。これからは、作業報告としての日報ではなく、製造現場の中で評価できる点やいろいろな課題をくみ取れるものに変えていかなくてはならない。
まず、前日の仕事から出た利益を把握出来るように変える 。これによりオペレーターが、会社の利益に貢献して経営に直接関係しているという意識を持もってもらうことになる。作業中にミス・ロスが出たらその損失がいくらになるかを伝えることも大切だ。
印刷は簡単だが単価が安いため利益が低い仕事。材料費が過大で利益が出にくい仕事。リピートの仕事なのに、印刷するオペレーターが違うとその技量により作業時間に差がでてしまうこと。適正な時間内で効率よく印刷が完了する仕事。など製造現場の利益構造を把握できると、印刷現場がかかえる強みと弱みがみえてくる。強みはその部分を伸ばすことを考え、弱みは今後の改善点、特にオペレーター教育の方向性がわかってくる。
コスト削減に必要な現場の原価意識
利益を出すためには作業中のミス・ロスを省いてコスト削減を図っていかなければならない。現場管理者はこれを是正するために口頭で定性的に言うのではなく、収支日報により必ず定量的な指示をしながらこれをどう低減させるかをオペレーターに考えさせて、原価意識を徹底させないといけない。
一方で、現場管理者は達成できそうもない高い利益目標を設定し、期待とは離れた方向に現場意識を持っていってはいけない。それでは現場の士気を低下させるだけである。現場管理者は、機械の生産能力に応じた利益目標を設定し、それを達成した時の充実感をオペレーターに持たせることが出来れば、次の段階に向けて少しずつステップアップしていくことができるだろう。そうしたオペレーターを育て上げることが出来れば、今後の生産性や品質向上の原動力となる。
(CS部 伊藤禎昭)
●関連セミナー
2018年5月25日(金) 開催
利益を出す印刷機の目標設定と現場改善