平成29年工業統計調査 確報(概要版)」が5月31日に公表された。4人以上の印刷産業出荷額は4.7%の大幅減となった。(数字で読み解く印刷産業2018その4)
2017年6月1日現在で実施された「平成29年工業統計調査 確報(概要版)」が1年後の5月31日に公表されました。調査期日が従来の12月31日から変更された初めての調査結果で、工業統計としては2年半振りの集計結果となっています。
「平成28年経済センサス-活動調査」の2016年6月実施に伴い「平成27年工業統計調査」が中止となり、次に「平成28年工業統計調査」を12月に実施するのではなく、半年先の2017年6月に変更して「平成29年工業統計調査」を実施したことによるものです。
「平成29年工業統計表」の利用上の注意としては、以下の2点に特に注意する必要があります。
・調査日を12月31日から翌年6月1日に変更したため、事業所数、従業者数については平成29年6月1日現在、現金給与総額、製造品出荷額等、付加価値額などの経理事項については平成28年1月~12月の実績により調査している。
・統計表中、「年次」については、「事業所数、従業者数」と経理事項(現金給与総額、製造品出荷額等など)では調査時点が異なるため、経理事項の年次に統一している。
従業者4人以上の事業所に関して、製造業の2016年の製造品出荷額等は302兆356億円(前年比3.5%減)、印刷産業は5兆1074億円(前年比4.7%減)で速報値よりも改善されました。
2017年6月1日現在の製造業の事業所数は19万1339事業所(前年比12.1%減)、従業者数は757万1369人(同1.0%増)、印刷産業は1万589事業所(同13.1%減)、従業者数は26万164人(同1.4%減)で、こちらも速報値よりも改善されました。
上の表でアンダーラインが引かれている調査年は経済センサスによる数値で、4人以上の事業所数は経済センサスの年には増加して、その反動で次の年の工業統計では大幅減となっています。この傾向は製造業全体でも同じような結果で、24産業分類のすべてで減少となりました。
出荷額は2015年の経済センサスでは製造業全体では前年比2.6%増で5産業が減少となっただけですが、2016年の工業統計確報値では同3.5%減となり、17産業が減少(速報値では19産業が減少)となっていて、経済センサスと工業統計とを単純に比較することはできないようです。
『印刷白書2017』では印刷メディア産業に関連するデータを網羅し、わかりやすい図表にして分析しています。また、限られた誌面で伝えきれないことや、今後の大きな変更点は「数字で読み解く印刷産業」で順次発信しています。
(JAGAT 吉村マチ子)