Keynoteは“印刷業界の「創注」に向けた「連携」戦略”~『印刷白書2023』10月下旬発刊

掲載日:2023年9月8日

業界初の白書として1994年に発刊以来、『印刷白書』は29年にわたり、印刷産業の動向把握に必要な公表データを網羅・掲載する唯一の存在である。最新版の『印刷白書2023』は、Keynoteを“印刷業界の「創注」に向けた「連携」戦略”とし、10月下旬の発刊に向けて鋭意制作進行中である。

 

昨秋発行した『印刷白書2022』のkeynoteは“印刷会社の造注・創注戦略”であった。afterコロナの時代にあらゆる産業、業種において新たなビジネスが模索されるなかで、印刷物の価値や必要性についても再考された結果、注文が減ってしまっては印刷ビジネスは収益を確保できない。また、今後デジタルマーケティング、PODなどが進化していくに従い、小ロット化にも拍車がかかり、注文を増やす戦略をとる必要がある、との認識から、注文を創り出すための戦略をさまざまな角度、立場から考察を行った。

“創注”はpage2023のテーマとしても掲げたが、JAGATとしてこのテーマをさらに突き詰めていくと、今後の印刷業界が創注を進展させるためには“連携”を生かしたビジネス構築力が決め手である、との認識に至り、page2024のテーマを“連携”と公表し、『印刷白書2023』のkeynooteを“印刷業界の「創注」に向けた「連携」戦略”とした。

「創注」とは、減少する印刷物制作で確保してきた収益を、他のビジネスで補い確保するということだが、例えばよく言われる印刷ビジネスの延長、付帯サービスとしてのマーケティングサポートやBPOにしても、効率よく利益を上げていくことは簡単ではない。そもそもBPOなどは、顧客がアウトソーシングしたい面倒な仕事を請け負う側面がある、ということを認識しておく必要がある。
印刷会社としての強みを生かしつつ、自社だけで完結できないことはその道の専門家と連携することが創注の早道である。連携によってそれぞれが持つ技術やノウハウを集積し、互いの強みを寄せ合うことで新たな高付加価値の製品・サービスなどが創出できる。

このことから『印刷白書2023』の第5章「印刷産業の経営課題」では、これからの時代にあって「創注型」への転換、そのための「連携」ビジネスへの変革に欠かせない印刷会社の「デジタル・トランスフォーメーション」、「デジタルマーケティング」の考察と業務化、そして「創注・連携ビジネスを展開できる人材の育成」、さらに新たに「印刷会社のAI活用」についても論考している。

2022年の日本の総広告費は過去最高の7.1兆円となった。前年に初めてマスコミ四媒体広告費を上回ったインターネット費はさらに拡大し、初めて3兆円を突破したことが最大の押上要因である。いまや総広告費に占める割合は43.5%である。一方で、DM、折込広告、新聞・雑誌広告などの印刷メディアの広告費は前年のプラスから一転マイナス成長である(電通『日本の広告費』、詳細は『印刷白書2023』第4章「関連産業の動向/広告業界」)。
印刷物の価値が見直される時代にあって、『印刷白書2023』は、創注に向けた連携ビジネス展開の参考となる内容構成とした。

『印刷白書2023』は10月下旬発刊予定で進行中である。JAGAT会員各社には例年通り代表者宛に献本するのでぜひご期待いただきたい。

(JAGAT CS部 橋本 和弥)

 

【関連情報】
『印刷白書2022』keynote:印刷会社の造注・創注戦略

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