持続的な企業価値向上につながる社員教育

掲載日:2023年9月12日

生産性の向上や従業員の自律的なキャリア支援など、さまざまな観点から「人的資本経営」への関心が高まっている。優れた教育機会とフレキシブルな働き方が提供できる企業こそ、優秀な人材を獲得しやすくなる効果が期待できる。

 

「人的資本経営」とは、人材を「コスト」や「資源」ではなく「投資対象の資本」と捉え、持続的に企業価値を高めてくことである。「人的資本」には、経営者が主体的に関わり、経営戦略として積極的に取り込む必要があり、多様性の包括、社員のスキルアップ、賃金の上昇、ウェルネスの観点は特に重要となる。社員のエンゲージメントを高める施策としてもスキルアップの向上を図り、リスキルや研修を通して、新しいスキルを習得することで、社員の自信へとつながり、仕事のモチベーションが高まる。しかし、通常業務に加え、研修などに参加するためには新たな時間を捻出する必要があるため、チーム体制や繁忙期などを考慮し、過負荷にならないような工夫が必要となる。一方で企業側は、自社の経営戦略を踏まえ、組織として不足しているスキルや専門性の特定と具体化し、社員が将来を見据えて自律的にキャリアを形成できるよう、積極的に支援することも重要となってくる。

 

スキルアップのための教育方法

昨今では、既存の研修においても、階層、職種、テーマなどそれぞれに合った教育内容であったり、集合型やオンライン研修、eラーニングなど研修スタイルが多様に設けられていたりするため、対象者に適した学習方法を取り入れることで通常業務と両立しながらスキルアップを図ることができる。中でも、eラーニングやオンデマンド教育、通信教育は、講師との双方向のやり取りはないものの、受講者のペースで好きな時間に受講することができ、研修内容を何度も復習できるので理解度も高まり、知識の習得が可能となる。

 

オンデマンド教育を取り入れている大学では、「時間帯効果」を重視し、短時間で視聴できることから早送りの倍速で視聴する学生が増えているという。一時停止や巻き戻しを行い、わからないところを重点的に学ぶ傾向もあるが、視聴速度と成績評価との相関関係はないと結果が出ている。社員教育を推進していくにあたり、対象者に合った研修内容や目的、方法を考慮し、対象者が、より教育効果を得られるように研修を活用していただきたい。

 

JAGATでは、昨年度より、新人・若手社員向けにオンデマンド動画配信を開始した。印刷会社に入社して必要となってくる知識(印刷に関する制作、刷版、製本加工、デザインなど専門的な基本知識)がまとまって学習できる「印刷製作入門講座」は、計10時間(全11本の動画コンテンツ)を約2週間に渡って学べるコースである。本講座は、中途社員の方や部署移動した方にも活用が可能で、基本的な印刷知識を業務の合間に学べることから大変好評である。そして、今年度より印刷営業向け「印刷見積り基礎講座」と「マーケティング入門講座」の2講座が追加された。どちらの講座も一度受講しただけでは、理解が難しい講座なので、オンデマンド動画配信で繰り返し視聴していただき、体系的に知識を習得できる講座となっている。オンデマンド動画配信は、時間と場所を選ばず、受講者のペースで無理なく進められるため、おすすめの学習方法である。これから未来の活躍を担う重要な人材を教育していく過程の学びの場として、ぜひ活用していただきたい。

JAGAT CS部 加治 寛子

 

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