生成AIとデザインの融合でプロセスが進化し、クリエイティビティ(創造力)が加速している。今、新たなデザインの未来が広がりつつある。
デザイン業務の現状と課題
ブランドオーナー企業の競争が激化する中、デザインが企業の差別化を決定づけ、ブランドの魅力を向上させている。印刷会社はデザイン部門を強化することで、優れたクリエイティビティを提供し、視覚的に引き立つ印刷物や広告を通じて、クライアントの成功を促進できる。
クライアントの多様な要望に迅速かつ適切に対応できるようになれば、信頼関係の構築とリピートビジネスの拡大につながり、市場での競争優位性を高める要素となる。しかし要望や市場の変動に即座に対応することは難しい。伝統的なデザインプロセスでは制作期間が長く、コストがかさんでしまうのが現状だ。
デザイン業務の課題は、クリエイティビティと効率の両立を図ることだ。デザイナーはアイデアを追求する一方で、制作期間、コストと戦っている。その結果、クリエイティビティが制限されてしまうことも多い。また、優れたデザイナーの確保も中小印刷会社において容易ではない。
生成AIの導入での解決策
それが生成AIの登場で大きく変わろうとしている。例えば、新しいパッケージデザインを制作する際、デザイナーはAIに関連するキーワードや業界トレンドを与える。AIは競合他社や過去の成功例を分析、学習し独創的な多くのデザイン案を提供する。経験値の少ないデザイナーでもこれらをもとにクライアントのフィードバックを取り入れ、最適なデザインを短期間で完成させることができる。
生成AIの活用に伴う新たな課題
だが課題もある。生成AIがデザインのクオリティを向上させる一方で、時には人間らしさを欠いてしまう。ブランドのデザインには独自の雰囲気や感覚が必要であり、これらをAIが理解することはまだ難しいだろう。デザイナーはAIが生成したデザインに独自のアートワークを加え、ブランドの個性を保持しなければならない。偏見や差別、プライバシーの保護などのチェックもAI任せではまだまだ不安で人間の「目」が肝心だ。
またAIが生成したデザインに対して適切な修正や調整を行うためには、デザイナー自身がAIの動作原理やアルゴリズムを理解し、使いこなす必要がある。これは今まで学校や現場で身に付けた知識とは全く別のものだ。
展望
デザインと生成AIの融合は今後ますます進むと予測されている。AIはユーザーの感情や体験をより深く理解するようになり、さらにパーソナライズされたデザインが可能になる。デザイナーもAIと伴走を続けることで理解が深まり、AIへの指示が洗練されていく。AIがデザイナーのアイデアを補完し、新しい視点やアートワークを提案する協働性がデザイン業務に必須になるだろう。
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(CS部 河原 啓太)