情報の可視化は、あらゆる分野で進んでいる

掲載日:2018年6月18日

情報を視覚的に表現する手法であるインフォグラフィックスがビジネスのどんな場面で役立つか、例をあげる。

JAGAT印刷総合研究会主催の「情報を分かりやすい図で伝えるデザイン手法―インフォグラフィックス・ワークショップ」(講師:木村博之氏)が6/22(金)に開催される。

JAGATでは、昨年からインフォグラフィックスに関する研究会やワークショップを行っているが、いずれも参加者の層は幅広い。

ここで、インフォグラフィックスがビジネスのどんな場面で必要になるか、例をあげてみよう。

出版分野

企業の報告書

アニュアルレポートやCSR報告書のデザインは、実績や今後の方針、そして企業理念を分かりやすく伝えるものでなくてはならない。
これらのレポートの多くが、インフォグラフィックスを活用している。
企業の誠意が伝わる報告書は、その企業へのファンを増やすことにつながる。

ガイドブック

例えば観光ガイドブック。見所案内やタウンマップは、観光客が行きたいところをすぐ探せるような工夫が必要だ。楽しく見やすいガイドは、見ているだけで旅への期待感がアップする。

製品カタログ・マニュアル

製品の購入を検討したり、購入後使う時、まずは読まなくてはならないものだが、読み込むのが苦手という人は多い。
特に高齢者や子供向けには、難しいことを優しく説明する工夫が必要になる。他言語対応、グローバルに理解できる図解も必須だ。

教材

現在の小中学校の教科書は、色使いやグラフィックに工夫が凝らされている。社会人向けの教科書も、学習意欲がわき、スムーズな理解につながるよう工夫する必要がある。

他にも地図帳、図鑑、年鑑、新聞の時事解説面、歴史解説書、学術論文集他、幅広い分野でインフォグラフィックスが活用されている。

マップ・サイン

鉄道路線図のデザイン

インフォグラフィックスの代表例と言える分野。日本では東京の地下鉄路線図が有名だ。
東京メトロ路線図
都営地下鉄路線図(PDF)

路線図の歴史は古く、ロンドン地下鉄が1933年に発表した路線図、通称ベックマップがダイアグラム型路線図の先駆として知られる。

日本地下鉄協会のWebサイトでは、世界各国の地下鉄路線図が紹介されている。

施設の案内表示

公園、イベント会場、病院などでは、誰もが迷わず目的の場所にたどり着けるようなサインやマップが必要だ。 総合的なサインシステムをデザインする場合はもちろんだが、規模の小さいイベント会場で、手作りのサインを掲示する場合にもインフォグラフィックスの考え方は役立つ。

Webサイトデザイン

Web制作に携わる人の中にもインフォグラフィックスへの関心は高い。モーショングラフィックや動画など動的なコンテンツを使用できるので表現の自由度が大きいが、それだけに、どう効果的に伝えるか、コンセプトや基本設計が大切だ。

プレゼンテーション資料

顧客へのプレゼンテーションに使う資料作成にも、インフォグラフィックスの手法が役立つ。
今回の講師の木村氏によれば、インフォグラフィックスとは起承転結でいえば結の部分を表現するものだという。

確かに、まずは最も伝えたい結論を印象的なグラフィックで提示することで、顧客の心をつかみ、詳細の理解もスムーズに進むだろう。

職場改善

工程管理

例えば工場の導線、進捗状況の共有など、生産現場の改善にはビジュアルが効果を発揮する要素が数多くある。

ミーティング

近年、ミーティングの内容を図で記録するグラフィックレコーディングという手法が注目されている。参加者の共通認識が得られるほか、アイデアが出しやすくなり、場を活性化させる効果がある。

これらはいずれもデザイナーだけでなく、マーケティング、企画、編集、営業、エンジニアなど、さまざまな職種に関わるものだ。できるだけ多くの方々に興味を持っていただきたい。

(JAGAT 研究調査部 石島 暁子)

関連ワークショップ

情報を分かりやすい図で伝えるデザイン手法―インフォグラフィックス・ワークショップ
2018年6月22日(金) 13:30-17:30
講師:講師:木村博之氏(チューブグラフィックス 代表取締役)