社員が自走する組織づくりと1on1ミーティング

掲載日:2024年9月6日

社員の自走について

企業に必要とされるイノベーションや生産性向上は、印刷会社においても重要な課題で、人材においては、自走する社員が求められる。「社員の自走」とは、社員が自ら考え、行動し、課題を解決する能力を持つことを示す。上司からの指示を待つのではなく、自分でやるべきことを見つけて実行する姿勢を意味する。PHP人材開発のWebサイト(2024年2月13日更新)を参考に自走する社員がいる組織のメリットが上げられる。

<メリット>

  • 生産性の向上:社員が自発的に動くことで、業務の効率が上がる。
  • イノベーションの促進:新しいアイデアや改善策が生まれやすくなる。
  • マネジメントの負担軽減:上司が細かい指示を出す必要がなくなり、戦略的な業務に集中できる。

自走する社員を育成するためには重要なポイントがあるという。

<実施するポイント>

  • 理念やビジョンの共有:企業の方向性を明確にし、社員に浸透させる。
  • 支援型リーダーの育成:社員の自主性を引き出し、サポートするリーダーを育てる。
  • 心理的安全性の確保:社員が安心して意見を言える環境を整える。

社員の自走を促進するコミュニケーション

社員が自走するためには、マネジメントにおける社員各々のモチベーションと目標を持たせることが欠かせない。鍵の握るのは、コミュニケーションである。JAGATの管理者系研修でも受講者の困りごととして「部下とのコミュニケーション」についての事柄が意外に多い。2024年9月12日(木)に開講する「営業マネージャー養成講座」の第2回目では「部下の成長を促進させる1on1ミーティング」をテーマに泉谷史郎氏(キャリアコンサルタント、凸版印刷株式会社 情報コミュニケーション事業本部ビジネスプロデュースセンター第六営業本部長)により事例と演習を交えながら講座を行う。 LINEヤフー株式会社 が2012年から取り入れたことでも話題になった「1on1ミーティング」は効果的な手法のひとつかもしれない。講座では、その狙いについて、過去のマネジメントスタイルやリーダー像を鉄道に例えて「機関車」と称する。先頭の機関車が動力のない車両を強引に引っ張るものだ。対して、これからのマネジメントを「新幹線」に例えている。新幹線は、各車両が自走することで効率よく高速で走り快適な乗り心地を生み出すことができる。自走型の組織と自走できる社員の育成の必要性を表したものだ。講座では、部下を育てる上で必要となる関係づくりを学び、コミュニケーショントレーニングを行う。

1on1は、各社員の力を引き出し、業績アップを導くものだ。上司と部下が1対1で行う定期的なミーティングで概ね短時間の面談、頻繁に実施することが基本とされる。1on1の目的は、部下の成長のために行うものである。主役はあくまで部下、上司は聞き手に徹することが大切である。

1on1ミーティングを効果的に行うためにはポイントがある。

(目的と期待を共有する)

ミーティングの目的や期待を事前に部下と共有することで、双方が同じ方向を向いて話し合う。

(傾聴の姿勢を持つ)

上司は部下の話をしっかりと聞くことが重要。部下が話しやすい雰囲気を作り、積極的に質問を投げかけることで、深い対話を可能にする。

(定期的に実施する)

1on1ミーティングは一度きりではなく、短い時間でも定期的に行うことで信頼関係が築かれる。例えば、月に一度や隔週で行うことなど。

(フィードバックを具体的にする)

ポジティブなフィードバックだけでなく、改善点も具体的に伝えることが大切。具体的な事例を挙げて話すと、部下も理解しやすい。

(アクションプランを策定する)

ミーティングの最後には、次回までのアクションプランを明確にし、フォローアップを行うこと。成長をサポートしていく。

(記録を残す)

ミーティングの内容を記録し、いつでも見返せるようにしておく。次回のミーティングにも役立つ。

部下とのコミュニケーションスタイルの変化への柔軟な対応は益々重要である。1on1が話題になっている背景には、VUCAと称される時代や働き手の減少に加え、働き方の多様化などがある。 人材マネジメントは 、人材の確保と育成において益々各社員を尊重し、それぞれの心を大切にする必要がある。一方、その運用に難しさを感じている企業も多い。企業の中には、強烈なリーダーにより成長してきた事例も多い。大きな声を出す過去の成功体験や実績のあるリーダーこそ変化対応が難しいかもしれない。拘ることは、テクニックや体裁ではない。無駄な人材を抱える余裕のない中、満遍なく各社員を機能させ戦力化することである。生産性を高め自走する組織づくりには、各社員の心に触れ、やる気を高めることにより自走する社員を生み出すことだ。

(研究教育部 古谷芸文)

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