6月25日公表の「令和2年(2020年)産業連関表」が9月3日に訂正されました。一部の部門の国内生産額に誤りがあったためで、産業連関表の構造上、その内訳等も訂正されました。これに伴い、7月11日掲載の記事を以下のように訂正します。(数字で読み解く印刷産業2024その5修正版)
5年ぶりに公表の産業連関表 (下線部が訂正箇所)
産業連関表(全国表)は、日本国内で1年間に行われた財・サービスの生産状況や取引状況を行列(マトリックス)にした統計表です。各産業が相互に支え合って社会が成り立っているという実態を、具体的な数値で見ることができます。
関係府省庁の共同事業として、西暦の末尾が0または5の年を対象に作成されています。今回の「令和2年(2020年)産業連関表」は、前回の「平成27年(2015年)産業連関表」(2019年6月27日公表)から5年ぶりに公表されたものです。
2020年の財・サービスの総供給は1120兆円、そのうち国内生産額は1026兆円 (総供給に占める割合は91.7%)、輸入は93兆円(同8.3%)です。
国内生産額の費用構成は、中間投入率が45.3%、粗付加価値率が54.7%です。
財・サービスの総需要は1120兆円、そのうち中間需要は465兆円(総需要に占める割合41.5%)、国内最終需要は572兆円(同51.1%)、輸出は82兆円(同7.4%)です。
印刷産業の財・サービスの総需要(総供給)は約4兆円(訂正なし)
同じ項目を印刷産業について見ると、2020年の総供給は4兆1727億円、そのうち国内生産額は4兆875億円(総供給に占める割合は98.0%)、輸入は851億円(同2.0%)です。
国内生産額の費用構成は、中間投入率が39.4%、粗付加価値率が60.6%です。
財・サービスの総需要は4兆1727億円、そのうち中間需要は4兆1156億円(総需要に占める割合98.6%)、国内最終需要は357億円(同0.9%)、輸出は214億円(同0.5%)です。
印刷産業の生産波及力を見るために38部門表を作成
JAGAT刊『印刷白書』では産業連関表を使って、印刷産業とその取引先産業の動きを見ています。統合中分類(108部門)表の「191印刷・製版・製本」を列方向(タテ)に見ると、印刷産業がどの産業から1年間にどれだけの金額の生産物やサービスを購入しているか、行方向(ヨコ)に見ると、印刷産業の商品・サービスの販売先がわかります。
印刷産業の国内生産額に誤りはないので、印刷産業の項目をタテ・ヨコに見るだけなら今回の訂正の影響はありません。ただし、『印刷白書』では印刷産業を別掲した統合大分類(38部門)表を独自にまとめ、逆行列係数表を作成しています。 印刷産業の国内生産額は全産業の0.4%にすぎませんが、38部門の逆行列係数表で生産波及を見る場合、訂正が影響します。
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『印刷白書2024』(10月発刊予定)では、 「令和2年(2020年)産業連関表」 から独自に作成した統合大分類(38部門)表によって、 印刷産業の生産波及力などを見ています。
限られた誌面で伝え切れないことや、読者からの問い合わせなどに対しては、「数字で読み解く印刷産業」で順次発信していきます。
(JAGAT 研究・教育部 吉村マチ子)