DNP、ホテル等の書店開業を支援するサービスを開始

掲載日:2024年9月12日

「風呂屋書店」を札幌市のホテル「定山渓第一寶亭留翠山亭」内にオープン

大日本印刷株式会社(DNP)は、宿泊施設等の“書店業以外の事業者”に対し、従来のサービスに“本”を組み込んで利用者の体験価値を高める、書店開業支援サービスを開始します。書店以外の各種施設で本を販売することで地域の住民等が本を買う場所を提供し、国内の書店減少や書店のない自治体の増加による課題解決にも貢献します。

本サービスの導入第一弾として、2024年9月19日(木)にオープン予定である、「定山渓(じょうざんけい)第一寶亭留(だいいちほてる)翠山亭(すいざんてい)」(北海道札幌市)内の温泉と読書を楽しむ空間「風呂屋書店」の開業を支援します。この書店では、宿泊者だけでなく誰もが約2,500冊の書籍を閲覧・購入できます。

風呂屋書店(完成イメージ)

【 “書店開業支援サービス”開始の背景 】

国内の書店が減少するなか、2024年3月時点で、地域に書店が1つもない無書店の自治体は全国の27.7%(482自治体)に及びます*1。一方で書店業以外の事業者は、サービスの付加価値やリピート率、滞在時間の向上の手法として“本を活用した場づくり”に価値を見出しており、書店開業のニーズが高まっています。しかし、従来の書店経営のビジネスモデルが専業を前提として設計されていることもあり、本の仕入れ条件の厳しさ、利益創出の難しさなどの課題によって、書店開業のハードルが他業種にとっては高くなっていました。

こうした課題の解決に向けてDNPは、出版関連事業で培ったノウハウを活かし、書店業以外の事業者に対して、書店開業に向けた一連の支援サービスを提供します。

◆サービス概要

  • 書店業以外の事業者が本を販売する際に必要な、企画・運営業務をDNPが代行・支援します。書店のコンセプト設計、スペースデザイン(設計・施工)、選書、本の仕入れ*2、関連物販の仕入れ、本を通じたコミュニケーション施策など、多岐にわたるサービスを提供します。
  • 多様な業種の企業の施設内に本を販売する場をつくるほか、各社の既存のサービスに「本」を組み込むことで、利用者の体験価値を向上します。企業が提供するサービスに関わるすべての時間・空間を対象に、本を活用して体験価値を高めるトータルコーディネートを行います。
  • DNPは現在、グループ会社の丸善雄松堂や丸善ジュンク堂書店と連携して、本のある場づくりや図書館設立の支援を行っています。また、自社が運営するオープンイノベーション施設「DNPプラザ」(東京・市谷)に「外濠書店」*3をオープンし、本との新しい出合い方を模索する実証実験を行うなど、人と本の出合い、快適な読書、本を媒介としたコミュニケーション等の研究やビジネス開発に取り組んでいます。本サービスでは、こうした活動を通じて培った考え方やノウハウを活かします。

◆「風呂屋書店」について

  • 「定山渓第一寶亭留翠山亭」内(北海道札幌市南区定山渓温泉西3丁目105)
  • 営業時間:11:00~15:00(宿泊者利用15:00~23:00/翌7:00~11:00)
  • 入場料:税込1,100円(宿泊者は無料)
  • 「風呂屋書店」のコンセプト:旅をテーマにした、知的好奇心を刺激する本のセレクトが特徴で、「次はどこへいこう」「温泉とサウナ」「発想が生まれる」といったコーナーを設置します。風呂上がりの心地よい気分で気軽に本を楽しみ、旅行・旅館という非日常空間を味わえるように、大人向けの絵本や写真集、インスピレーションが湧くような本、定山渓の地域を題材にした本を多数用意します。書籍は書店ゾーンとラウンジで、購入前でも自由に読むことができます。施設内ではフードやドリンクも販売予定です。DNPが提供する、読書時間をより有意義にするブランド「AIMA」*3のアイテムなども、併せて楽しめます。
  • 第一寶亭留の思い(代表取締役:布村英俊):昔から作家が作品を生み出す場として宿があったように、本と最後まで切れない場が宿である。書店が減っている昨今、宿は、本と触れ合う大切な空間だと考えている。書店の魅力は、自分でいつも選ぶものとは違うものに出合える喜び。ただ本が読めるだけではなく、本を買えて、売場に変化があることで、リピーターのお客様に“いつも違う特別な場所”という感覚を伝えたい。


今後の展開

DNPは、“本のある場づくり”の支援として本サービスを提供し、2026年度までに累計5億円の売上を目指します。宿泊施設のほか、サービス付き高齢者向け住宅、飲食店、オフィス、ビジネスラウンジ、リゾートマンション等に向けてサービスを提供していきます。また、DNPが取り組んでいる、学校教育現場での読書推進活動や、動画等を活用した新しい本の楽しみ方の開発とも連動させることで、本との出合いの場・学びの場の創出につなげます。

◆「人と本の出合い」をつくるDNPの取り組み

DNPは、出版業界がより活性化し持続可能な状態となることを目指し、人と本との出合い方、より快適な読書、本を媒介としたコミュニケーション等について研究・ビジネス開発を進めています。自社が運営するオープンイノベーション施設「DNPプラザ」の「外濠書店」では、従来の書店では難しい選書や仕入れ、陳列、売り方の手法、顧客同士のコミュニケーション施策などに取り組んでいます。また、日本の伝統技術を活用したアイテムで読書時間を有意義にするブランド「AIMA」*4、小学生に読書習慣を根づかせるための学校向けパッケージサービス*5、文章のレイアウトを工夫することで読みやすさを高める「読書アシスト」*6など、多様なサービスの開発に注力しています。