系統立てて物事を考える
 −『JAGAT info』12月号のご案内−

掲載日:2024年12月10日

 ある先達の編集者から教わったことの一つに、「状況を大・中・小に分けて考える」というのがある。これは、例えば文章を書くときや記事を編集する際に、そこに記述されている事柄はどの状況に属しているものなのかを意識しなさいという趣旨である(と、執筆子は理解している)。いわゆる「分かりやすい文章」は、まず大状況を記述し、次に中状況を述べたうえで小状況について論じるという構造であることが多い。逆に言うと、順序立てて物事を説明しているからこそ、分かりやすく、かつ説得力を持つのである。
 これに似た考え方として、「樹形図」がある。樹木は一般的に、幹→枝→葉と広がっていくことから、物事や思考において要所要所で分岐・展開していくことを、樹木になぞらえて図案化したもののことをいう。スタート地点は一緒でも、途中でどの選択肢を経由するかによって、着地点は全く異なってくる。これは皆さんも日常生活において、多かれ少なかれ経験があるのではなかろうか。あるいは、無自覚・無意識のうちに行っているのかもしれない。
 さて、本誌12月号では、印刷工場におけるトラブルを解決するための問題整理の手法として、「特性要因図」を紹介している。詳細は誌面をご覧いただきたいが、そのプロセスを図式化したものはその形状から“魚の骨”などとも呼ばれている。すなわち、大きな事故要因(“大骨”)に対して細かく精査していく(「なぜ?」と繰り返し問い掛ける)ことで、個別具体的な原因や解決策(“小骨”)にたどり着けるとする考え方である。
 これらの考え方に共通しているのは、系統立てて物事を考えていこうという姿勢だ。一見すると時間はかかるものの、いわば投網で魚を捕まえるかのごとく対象を絞り込んでいくことで、説得力を持った結論に近づけるのである。2024年もいよいよ残り3週間ほど、ぜひ12月号を参考にしつつ今年を振り返ってみてほしい。

 

『JAGAT info』2024年12月号のご案内

◯特集
 「やる気」「気付き」に向き合うマネジメントと改善思考
 ~印刷工場の生産性向上について考える~

 企業規模の大小にかかわらず、印刷会社の工場は重要な経営資源である。印刷工場で作り出す製品が印刷ビジネスの成否を左右することから、自社の営業戦略を共有しつつ“稼ぐ工場”としての価値を高めていかなければならない。ビジネス環境の変化に対応していくには、生産現場の管理はもちろんのこと、経営視点での幅広い見識を持つことと製造現場での対応力の強化が求められる。
 JAGATでは、印刷工場の生産性向上を目指すべく、2024年に第4期「印刷工場長養成講座」と第2期「印刷機長養成講座」を開催した。特集では、やる気と気付き、そして科学的な視点を重視し、印刷工場の組織づくりと現場改善のマネジメントについて取り組んだ両講座の内容を振り返りつつ、モチベーションを高めるチームづくりについて、そして科学的な視点と合理的な改善活動に関して、改めて考える。

◯特別企画
 『印刷白書2024』を読み解く

 『印刷白書2024』は全5章の構成で、印刷産業の関係者以外の読者にも産業の全体像を理解してもらえるように構成している。印刷産業に関する最新データを網羅し、見やすい図表にすることで、新たな事業の方向性やヒントを見つけ出す手掛かりとなることを目指している。また、「読み物」としても面白くなるよう、今回はサステナビリティや事業承継などの項目を追加した。
 公的統計の多くは毎年夏に公表される。そのため、最新データを満載している『印刷白書』は、印刷産業の現状を分析するのに最適な一冊である。

(『JAGAT info』編集部)

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