印刷業界は、デジタル化の進展による大きな転換期を迎えている。デジタル印刷技術の普及で生産効率が向上し、小ロットやオンデマンド印刷の需要が増加する一方、紙媒体の需要減少や電子書籍化が進んでいる。
このような変化に適応し、新たなビジネスモデルの構築が求められる中で、印刷営業マネージャーの役割はますます重要になっている。真の印刷営業マネージャーになるためには、従来の営業スキルに加え、新たな知識と能力が求められている。
– 印刷営業マネージャーに求められるものは多岐に渡る –
最も重要なのは、効果的なチームマネジメントスキルだ。営業チームの生産性を高め、個々のメンバーの能力を最大限に引き出すリーダーシップが不可欠だ。チームメンバーとの密接な情報共有や、タスクの可視化、定期的な進捗確認、優先順位の明確化などを通じて、チーム全体の業務効率を向上させなくてはならない。特に、若手社員の育成は重要な課題だ。
そこで必要なのがコミュニケーション能力になる。部下に定期的なフィードバックを行うことは、営業プロセスを改善し、信頼関係を築くことができるだろう。進捗状況に応じてポジティブな感情を育むコミュニケーションを心がけることで、部下のモチベーションを維持する。マニュアルに書かれていない社内人脈づくりや顧客提案への参加を通じて成功体験を提供し、成長を支援する姿勢が必要だ。
コスト管理能力も欠かせない。原材料費の高騰や人件費の上昇など、印刷業界を取り巻く経営環境は厳しさを増している。効率的な生産体制の構築や適切な価格設定など、収益性を高める取り組みが求められている。
さらに、コンプライアンスの重要性も忘れてはならない。法令遵守はもちろんのこと、企業倫理や社会的責任を果たすことが、持続可能なビジネスを行う上で不可欠だ。特に下請法や著作権法などの遵守は、印刷業界において極めて重要である。
最後に、常に新しい技術やトレンドをキャッチアップする姿勢が大切だ。例えば、生成AIの活用は印刷業界にも大きな影響を与えつつある。これらの新技術を理解し、ビジネスに活かす視点が必要となる。
– 多岐に渡る能力を身に付けるには –
真の印刷営業マネージャーになるためには、これらの多岐にわたる能力を総合的に身につける必要がある。しかし、一朝一夕にこれらのスキルを習得することは困難だ。そこで、JAGATは「印刷営業マネージャー養成講座2025」を2025年9月より全6回にて開催する。本セミナーでは、業界のトップランナーによる講義や、実践的なワークを通じて、これからの印刷営業マネージャーに必要な知識とスキルを効率的に学ぶことができる。
チームマネジメント、コミュニケーション、会社数字、コンプライアンスなど、幅広いテーマをカバーし、明日からの業務に活かせる内容だ。また、参加者同士のネットワーキングの機会も提供し、業界内の情報交換や協力関係の構築にも役立つ。真の印刷営業マネージャーを目指す方、チームの生産性向上を図りたい経営者の方、ぜひこの機会をお見逃しなく。皆様のご参加を心よりお待ちしております。
(研究・教育部 河原 啓太)