前回では、各業界の電子商取引が急拡大する中、インターネット上での顧客側視点での評価は、どのようになっているかについてドイツの例を紹介した。紹介した事例は、信頼できる店舗の意を示す認証制度“Trusted Shops”における印刷通販のカスタマーレビューの内容であった。カスタマーレビューは日々更新され、信頼性維持、向上のために認証取得企業の欧州域内での取り組みが続いている。
さらに今後の新規顧客獲得のためは、顧客からのフィードバック情報を得ることが大変重要であり、低評価となる星1 つ(★)の内容から顧客満足度の高い星5 つ(★★★★★)のレビュー内容まで、オープンにされ、さまざまな評価情報が収集分析されている。
Onlineprinters Quality Management
各企業は、この認証制度の普及活動によって、顧客側の信頼をよりいっそう高めることができると考え、新規獲得顧客数を伸ばす対策の一つとしている。そのため、このようなサービスを更に充実させるための積極的な取り組みはオンラインショップ市場全体に信頼性を与えると同時に、これらの管理体制を強化することにつながり、顧客とのトラブルを防ぐための重要な役割を果たすことにもなっている。
Shop Usability Award 2014
9 月に訪問したドイツのミュンヘンでは、9 月18 日に年に一度の電子商取引業界で重要な催し物となる“ ショップユーザビリティー賞2014(Shop UsabilityAward)”が発表され、総合優勝の店舗が決定した。
本年度の申請は、合計460 店舗(Shop)が行い、9 月1 日に受賞対象候補が60 店舗に絞り込まれて最終審査結果が注目されていた。まず、12 種別のカテゴリーの中での受賞店舗が決まるが、その受賞企業の中から総合優勝となったのは、スポーツ・アウトドア分野からテニス関連用品を販売するテニス- ポイント(Tennispoint.de)の店舗に決まった。気になる印刷業界については、過去に総合優勝の実績にまで至っていないが、オンラインプリントショップがカテゴリー部門で受賞した実績がある。
このような認証制度は、現状では欧州のみが対象となっているが、同様の流れはすでに米国・アジアでも着々と進み、各業界団体が推進している(詳細:www.usability.gov)。
高い信頼性と管理体制の強化、顧客からのフィードバックを大切に
最後に、各国の認証および評価制度の共通点は、電子商取引における顧客側(消費者)への透明性(=信頼性)と安全性を今まで以上に保証し、管理体制を強化することにある。ドイツのオンライン評価サービスの中には、認証ロゴマークを金(Gold)・銀・銅と一般レベルに区別しているものもあり、顧客の評価レベルが、常に“ 見えるかたち” になっている点も見逃せない。
(『JAGAT info』2014年11月号より一部割愛)
Graphic Arts in the World Media World Communications Co., Ltd. Taku Matsune E-mail: taku.matsune-mwc@sky.plala.or.jp |