新年明けましておめでとうございます。今年は大きな変化に身構えながらのスタートとなりました。先の選挙で、国内は少数与党の不安定な政権となり、最も影響のある隣国ではトランプ氏がアメリカ次期大統領に再選されました。国連気候変動枠組条約第29回締約国会議(COP29)では、先進国と途上国の意見の隔たりが、これまで以上に際立ちました。また、この数年においても、新型コロナウイルスのパンデミックや、能登半島地震をはじめ温暖化の影響とされる豪雨などの自然災害、世界各地での紛争や戦争の拡大と、想定していなかったことが立て続けに起こっており、長く続いてきた“平和の時代”が去りつつある危機感を覚えます。
この先、どのような時代に変わっていくのか全く想像できませんが、これまでにない大きな変化が待ち受けていることだけは確かだと思います。私たちはより良き選択を積み重ねながら困難を克服し、未来の世代のために持続可能な社会を目指していかなければなりません。
私たち印刷産業は、長く続いたデフレによる価格下落とコロナ禍後の印刷需要の激減という大きな問題に直面しています。また、足元では資材高騰によるコストアップもあり、喫緊の重要な課題は“値上げ”の交渉にあります。これは、お客様が印刷物からデジタルメディアにシフトし、印刷物の発注が減るなかで値上げをお願いするという、二律背反ともいえる問題です。ならば発注を控えようとお客様が考えるのは想定できることで、皆様も大変苦労しているところではないでしょうか。
この先の印刷需要の回復が予想できないなか、量的拡大の価格競争に一線を画し、印刷事業を核とした付加価値領域を創出しようと考えることは、重要な選択肢の一つだと思われます。印刷会社がそれぞれの新たなビジネスモデルを模索し、構築していくことは、印刷業界全体が次の成長軌道に向かう大事なプロセスです。そのためには他産業・他業界に積極的にアプローチして、新たな関係から価値を創り出すチャレンジ精神が求められます。今の変化をチャンスと捉え、価値創造への挑戦を進めたいと思います。
JAGATの今年のテーマは「共奏」としました。page2025ではクライアント・マーケター・消費者・デジタルメディアなどと共に新たな価値を創出し、そして奏でていくビジネスを提案していきます。それぞれの企業が今後のビジネスの方向性について考える絶好の機会となることを願いつつ、皆様のご来場をお待ちしております。
公益社団法人日本印刷技術協会
会長 網野 勝彦