リスクマネジメントは、現代の企業経営において不可欠な取り組みとなっている。特に印刷工場のような製造現場では、ヒューマンエラー対策を含むリスクマネジメントが品質管理や生産効率の向上に直結する重要な課題だ。
印刷工場におけるリスクマネジメント
リスクとは、ISO(国際標準化機構)の定義によれば「目的に対する不確実性の影響」とされる。企業活動においては、自然災害、法的リスク、競合の動向、情報セキュリティなど、様々な要因が潜在的なリスクとなり得る。リスクマネジメントは、これらの潜在的リスクを特定し、分析・評価した上で適切な対策を講じるプロセスである。その主な目的は、事業の存続を確保することだ。具体的には、リスクの発生を防止し、万が一リスクが顕在化した場合でも、その影響を最小限に抑えることを目指す。
印刷工場におけるリスクマネジメントでは、特にヒューマンエラー対策が重要となる。ヒューマンエラーは複雑な工程や、細かな色調整、納期の厳守など、印刷業務の特性から発生しやすい。これらのエラーは、不良品の発生や納期遅延、さらには重大な事故につながる可能性がある。
人はミスを犯すのが通常
このような背景から、JAGATではpage2025オンラインセミナーにて「印刷工場のリスクマネジメントにみるヒューマンエラー対策」を開催する。本セミナーでは、「人はミスを犯すのが通常」という前提に立ち、印刷工場特有のリスクに焦点を当てた対策を学ぶ。具体的には、印刷工程における潜在的なエラーポイントの特定方法、効果的なチェックリストの作成、作業環境の改善策などを詳細に解説する。
さらに、従業員教育や意識改革の手法、ヒヤリハット事例の活用法など、組織全体で取り組むべき改善策を提案する。リスクマネジメントにおいては、責任追及ではなく原因追究の姿勢が求められる。エラーが発生した際には、個人を責めるのではなく、組織全体でその要因を分析し、再発防止策を講じることが重要だ。印刷工場のリスクマネジメントは、単なる事故防止策にとどまらず、企業の競争力強化につながる重要な経営戦略の一つとなっている。適切なリスクマネジメントを通じて、生産性と品質の向上を実現し、顧客からの信頼を高めることができる。
変化に対応する
今後、デジタル化が進む印刷現場では、新たなリスクも発生することが予想される。従来とは異なる形のヒューマンエラー対策も必要となるだろう。このような変化に対応しつつ、継続的にリスクマネジメントを改善していくことが、印刷業界の持続的な発展につながる。生産性と品質の向上につながるリスクマネジメント手法を習得できる本セミナーは、印刷業界の管理者や品質管理担当者にとって、見逃せない機会となるだろう。
(研究・教育部 河原 啓太)
2月14日(金) 15:30~17:30
【S6】印刷工場のリスクマネジメントにみるヒューマンエラー対策
講師:上妻 祐司 (OD人事経営コンサルティング)