計画的OJTのすすめ

掲載日:2025年3月5日

ある会員企業の印刷会社から高卒の新人向けの教育カリキュラムの策定を依頼された。その背景には採用難がある。

厚生労働省の発表によると令和5年度の高卒向け求人数は約46万5千人(対前年比9.4%増)、求人倍率が3.79倍(同0.5ポイント増)と高卒採用への需要が継続して増加傾向にある。こうした売り手市場のなか、高校の進路指導の担当者から就職先の選定条件として、しっかりとした教育体制が整っていることが挙げられたのが取り組みのきっかけである。

苦労して獲得した若手人材の早期離職を防ぐためにも教育体系の整備は不可欠であろう。JAGATとしては、リアルの場で得られる実践的な体験を重視した集合型研修といつでもどこでも学べる柔軟性の両方を活かした「新入社員セミナー2025~学び放題サービス~」として以下のプログラムを提供している。

4/2(水) 新入社員養成講座
4/3(木)~4/4(金) 印刷製作入門講座
4/7(月) 印刷会社の仕事の仕組み
      ①職場コミュニケーション、②会社数字とコンプライアンス

また、長年にわたり新入社員の基礎教育手段として、多数の企業において採用されてきた通信教育講座「新入社員コース」もお薦めである。

印刷業界で社会人生活を送るうえではこうした知識習得がベースとなるのは言うまでもないが、仕事を覚えるうえでは、OJTが中心となる。しかし、OJTといってもその内実は企業によってさまざまであり、現場任せになってしまっている企業も少なくない。知識習得の教育プログラムを用意するだけでなく、会社としてのOJTの仕組み(制度)づくり、そして新人を教える側(OJTリーダー)への教育が非常に重要となる。

新人に対していつ何を教えるか事前にきちんと計画を立て計画的に指導することと、状況に応じて指導すること(機会的指導)を組み合わせること。そして、OJTとOFF-JTを適切に連携させることがポイントとなる。いつ何を教えるかを考えるうえでは、各現場ごとに現状の業務の棚卸しをすることが出発点になる。また、教えっぱなしではなく、きちんと理解できたかどうかチェックする仕組みが必要である。先輩から「同じことを何度も聞くな」と叱られたことがきっかけで、わからないことが質問できなくなり、離職につながってしまったという話しも聞く。

JAGATでは、新人を教える側への教育を含めたOJTの仕組みづくりのサポート、そしてOJTとOFF-JTを組み合わせた体系的な教育プログラムの策定に取り組んでいる。興味があればお問い合わせいただきたい。

(研究・教育部 花房 賢)